2008年6月23日

韓国100万の大デモと連帯し洞爺湖サミット粉砕に立とう 第2回実行委  動労千葉・田中委員長の基調報告

週刊『前進』06頁(2348号2面2)(2008/06/23)

韓国100万の大デモと連帯し洞爺湖サミット粉砕に立とう
 職場闘争と街宣をやりぬき怒りの大デモを組織しよう
 第2回実行委  動労千葉・田中委員長の基調報告
 新自由主義に断を下す闘い

 6・29全国労働者総起集会にむけた第2回実行委員会での田中康宏動労千葉委員長の基調報告を掲載します。(編集局)

 第1章 全世界の労働者人民の総決起が始まっている

 第1回実行委から今日まで、すごい勢いで世界情勢が激変しています。全世界の労働者、農民、漁民が目覚め、帝国主義に対する全人民の総決起が始まっています。こうした中で、洞爺湖サミット粉砕闘争の核心問題は次の2点に絞り上げられてきています。
 第一に洞爺湖サミット粉砕闘争は、日々燃え上がっている国際階級闘争の最大の焦点にせり上がったということです。サミット粉砕闘争は、全世界で立ち上がるすべての労働者人民との国際連帯をかけた闘いであり、その呼びかけです。
 第二に洞爺湖サミット粉砕闘争は、この30年あまりにわたって全世界の労働者・農民から奪い尽くし、貧困と戦争を強制し、いまや破滅的な結末を強いている新自由主義に断を下す闘いです。
 マスコミでは「今回のサミットは、第1回ランブイエ・サミット(1975年)以来の重みを持っている」という論調も出てきてます。帝国主義の戦後発展が完全に行きづまり、1974〜5年恐慌が爆発する中でサミットは始まりました。敵の側は、今が当時を超えるような歴史の分岐点だと認識しているんです。新自由主義は帝国主義の最末期の姿です。労働者の団結した力が資本主義・帝国主義を打ち倒すべき時代がついにやってきたということです。
 また5月28〜29日には、法政大における学生の決起と大弾圧がありました。文字どおりのサミット弾圧です。学生たちは逮捕を辞さず断固として闘いを貫徹しました。この決起の根底にあるのは、この社会への激しい怒りであり、何よりも「労働者は必ず立ち上がる」という確信です。学生たちの闘いは、われわれが進むべき道を指し示してくれています。

 第1節 労働運動の復権

 今日訴えたいことの核心は、階級的労働運動の復権こそ社会を変える力だということです。
 冒頭に、米ILWUのメーデー・ストライキのビデオを見てもらいました。階級的労働運動路線そのものです。
 この闘いは、ILWUという立派な労働組合があり、その組織力があったからできたのではありません。この港湾労働者メーデー組織委員会の共同代表はILWUローカル10のジャック・ヘイマンさん、クラレンス・トーマスさんです。そして事務局長がローカル34のラッセル・ミヤシロさん。この間の11月集会で一緒に肩を組んだ仲間です。いまILWU幹部の中で民主党員がどんどん増え、どんどん右傾化して反戦闘争もできなくなっている。「だからおれたちランク・アンド・ファイルがやったんだ」と彼らは言っています。闘いは職場を拠点としたイラク反戦闘争、国際連帯闘争として完璧に打ち抜かれました。西海岸の29港湾が全部止まりました。ここまできたのは、やっぱり情勢ですよね。

 第2節 政権が倒壊寸前

 そして何よりも韓国の情勢です。きっかけはBSE問題ですが、どうみてもBSEだけの問題じゃない。6月10日にはソウルで70万人、韓国全土で100万人の労働者や学生、農民が総決起しました。ものすごいことが起こっています。
 スローガンは「打倒!独裁政権」です。教育改悪、市場化・民営化、非正規職化や格差・貧困への怒り。あるいは「燃料費高騰・インフレで、もう生きていけない」という怒りです。そして、アメリカ帝国主義への激しい怒りが爆発しています。すべての怒りが結合して100万人デモにまで発展しました。
 6日には大統領府の全高官が、10日には全閣僚が辞任届けを提出しました。「新自由主義構造改革」を旗印に登場したイミョンバク政権——いわば小泉みたいな政権ですよね、これが倒壊寸前になっています。
 13日には貨物連帯労組のトラック労働者がストに立ちました。燃料高騰で、もう生きていけない状況だからです。闘いは激しいです。スト破りした労働者のトラックが、火をかけられて燃やされ、港湾の荷積みはガタガタです。そしてこの1〜2日の中で1千人の労働者が貨物連帯労組に加盟するという、すごくダイナミックな闘いです。
 この中で、韓国労働運動の左右の分岐が激しく進んでいます。右派は苦渋に満ち、逆に左派のほうはガンガン闘っている。この激しい闘いの中で、民主労総の中から本物の階級的労働運動が生まれ出てくるだろうと確信しています。

 第3節 世界戦争に怒り

 食糧暴動などから始まった全世界の闘いが、燃料高騰問題などをもとおして全世界を覆いつくしています。総決起が始まっています。
 インドやインドネシア、タイ、そして中国でストライキや暴動が激発しています。スペイン、ポルトガル、フランス、ベルギーなどでは、労働者だけじゃなく漁民が一斉にストライキ。スペインでは、トラック労働者のストを契機に闘いが暴動化している。南米ではチリのトラック労働者がストに入り銅生産が完全に止まっています。
 世界中で闘いの炎が燃え上がり、ストの津波が襲っています。課題は、首切り、賃下げ、年金、医療、教育改革、公務員制度の改革問題——つまり新自由主義そのものへの怒りです。そして最末期の帝国主義が、アフガニスタンやイラクへの侵略戦争を続け、イラン、北朝鮮、中国へと戦争を拡大して世界戦争にのめり込んでいくことへの激しい怒りです。こうした攻撃への大反撃が、労働運動の荒々しい復権として全世界で始まったのです。
 アメリカでも、ドイツ、フランスでもストライキが次々と起こり、イギリスのRMT(鉄道・海運・運輸労組)もストに入りました。
 日本も例外ではありません。燃料高騰の中で、マグロ漁船・カツオ漁船・イカ釣り漁船などが出漁を拒否しています。これは事実上のストライキですよ。「漁に行っても行っても赤字が出るだけじゃないか」と。この事態は、必ず全産業に波及します。トラックやタクシー労働者も、このままでは生きていけない。工場だって操業していけなくなるわけですから。
 闘いは生存権をかけたものであり、文字どおり「生きさせろ!」の闘いになってます。革命が起きるのは、こういう時なんですよ。まさに「パン・土地・平和」です。
 これまでは、多くの人が資本主義に疑問なんか持ってなかったかもしれない。しかし、食えないという現実が突きつけられる中で、労働者が「この世の中は根本的に間違っている」ということに膨大な規模で気付き、階級意識を呼び覚まされている。
 小林多喜二の『蟹工船』が130万部売れたそうです。100人に一人。とてつもない数ですよ。漫画まで出ている。
 他方で秋葉原事件が起こりました。僕は「ああ、おれたちの責任だ」と思いました。僕らの声が届いていれば、少なくともあのトラックで日研総業の本社に突っ込むとかになっていたかもしれない。事態は煮詰まりきっています。徹底的に分断され、未来を奪われ、生きられなくなっている。若者だけじゃない。高齢者も同じです。社会のあり方が、根本的に間違っているんですよ。だけど、どうしていいかわからない。団結する相手もいない。敵が誰なのかもはっきりしない。
 だからこそサミット決戦は決定的に大事なんです。ここで本当に勝負しないといけない。そして、ここでわれわれが一歩突き抜けた時、間違いなく今年の11月集会の展望が見えてきます。

 第2章 サミットのなにが一番許せないか怒りを語れ

 これからの2週間で、われわれがやるべきことは次の二つです。
 第一に、体制内的な発想からの脱却をかけた自らの職場からの闘いをどこまでできるのかということです。第二に、街頭にうって出て徹底的に訴えていくことです。
 では、具体的に何をもってサミット決戦を組織するのか。
 ひとつに、自分自身のストレートな怒りこそが闘いを組織する最大の力です。自分自身が何に怒っているのかをはっきりさせることです。
 サミットには帝国主義各国の首脳が集まるわけだから、すべて許しがたいわけです。だけど全テーマについて「サミットとは……」と説明したって始まらない。自分がなにが一番許せないと思っているのか。これを職場で真っすぐに訴えて欲しい。それが、闘いを組織することになります。そして、その怒りは職場の怒りと間違いなくひとつになるはずです。
 二つに、闘いによって闘いを組織することです。現実に労働者が闘いに立ち上がっている——このことが何よりも労働者を獲得します。それを生き生きと伝えられるかどうかです。ILWUのストライキにしても、ジャック・ヘイマンさんやミヤシロさんは、われわれの仲間じゃないですか。“おれたちの仲間がこんなにすごい闘いをやったんだ。労働者にはこれだけのことができるんだ”ということでしょ。闘いが一番、労働者を組織します。

 第1節 まず行動ありき

 三つには、行動方針によって労働者を組織して欲しいということです。
 街頭宣伝で、サミットについて細々と説明しても誰も反応しない。だけど「もうおれたちはガマンできないんだ! 渋谷で大デモをやろう!」と訴えたら、みんな振り向くというんだよね。
 怒りが満ちている時代、時代が変わろうとしている時には行動方針こそが労働者を組織します。歴史をつくる人間の行為は、まずもって行動ありきです。行動に立つことこそ社会の腐りきった本質を照らし出し、敵をはっきりさせ、仲間をはっきりさせます。そして、満ちあふれる怒りに火を付けるんです。
 四つには、資本主義体制、帝国主義体制が目の前で崩壊しようとしていることです。やつらはもう崩れてるんですよ。敵の危機と矛盾を徹底的にはっきりさせることです。そのことが団結をつくります。これは動労千葉が、団結をつくる時の核心としてずっとやってきたことです。敵の危機と矛盾——これをリアルに訴えきることです。これは労働者の自信・確信とメダルの表と裏の関係です。敵の危機と攻撃こそ、全世界で階級的団結とマルクス主義を復権させているんです。
 五つに、適当なところで妥協したりしちゃいけないということです。自らの存在と闘いを、絶対に低めないでほしい。韓国での100万人決起やアメリカのメーデー・ストライキにしても、われわれはそのまっただ中にいるわけですから。
 こういう情勢の中で、われわれがどういう存在でなければならないのか——このことは、みんな分かってきているはずです。日本の労働者階級が先頭に立って階級的団結を作りあげ、全世界の労働者の先頭に立って呼びかけを発していくべき情勢です。この立場から、自分の職場での闘いをとらえ返してほしい。
 もちろん一筋縄ではいかない。なかなか踏み出せないかもしれない。だけど「いま自分たちは、こういう存在でなければいけない」という視点から現状を見たとき初めて、いま何をなすべきかがはっきりする。逆に、職場の困難さだけからものを見ていたら、職場の闘いもうまくいかない。
 僕は動労千葉の組合員に対して、「どんな小さな労働組合だって、労働者階級全体のこと考えないといけない」「その中の決定的存在として動労千葉はある」と常に訴えてきました。そうした視点から、みなさんがいま自分は職場から何をしなければいけないのかを見すえて欲しい。
 職場と街頭で徹底的に議論を巻き起こし、残り2週間を全力で闘い抜こう。世界を揺るがす大デモを実現しましょう。