2008年6月16日

サミット粉砕怒りの大デモへ 韓国 “政権倒せ”100万人がデモ民主労総はゼネスト体制へ

週刊『前進』06頁(2347号2面2)(2008/06/16)

サミット粉砕怒りの大デモへ 韓国
 “政権倒せ”100万人がデモ
民主労総はゼネスト体制へ

 「闘争で勝ち取った民主主義をまた失うことはできない」「イミョンバク大統領が80年代に帰りたいのなら、私たちも87年闘争で相対して戦う」
 軍事独裁体制を打倒した1987年民主化闘争から21年目の6月10日、百万人のデモ隊の波が再び韓国全土を覆いつくした。「百万ロウソク大行進」が開かれた10日夜、ソウル市内の道路を埋めつくした人民が「牛肉全面再交渉、打倒独裁政権」を叫んで行進した。
 デモは全国118カ所で行われ、ソウル70万人、クァンジュでは5万人、プサン2万人、テグ6千人、テジョン5千人など、韓国全土で100万人の人民が参加した。87年6月闘争以来、最大の規模だ。
 ソウル市庁前広場で開かれた大行動は夜7時に始まり、参加者が3つに別れてソウル市内各所を行進した。警察はこの日、最高レベルの非常令「甲号非常令」を発令し、全国で可用人員100%の動員体制をとり、417個の中隊(約4万人)を動員したが、大統領府(青瓦台)へのデモ隊の進撃をくい止めるのがやっとだった。ソウル市内は完全に解放区になった。
 行動を呼びかけたBSE国民対策会議は「今日参加した人数を見ると、イミョンバク政府が事実上、国民の審判を受けたも同然」とした。

 第1章 72時間連続行動

 10日の大デモに先立ち6月5日から8日まで「72時間国民リレー大行動」が闘われた。参加者はソウルでのべ50万人、韓国全土で70万人。ソウル大、延世大、梨花大、弘益大、西江大などの学生は5日、スト(同盟休業)で集会に合流し、大きな拍手で迎えられた。
 8日のロウソク文化祭に参加した女性教育労働者は「単に牛肉問題ではなく、イミョンバク政府の成長論に反対している」とし、イミョンバク政府の成長論は1%の持てる者のための「成長論、成功論」だと指摘した。さらに、学校給食への米国産牛肉導入を問題にしつつも「優劣クラスなど、人間に対する価値判断を成績順に並べるイミョンバク政府の教育政策は、実に反教育的だ」と強調した。
 家族と参加した他の労働者は「教育問題、大運河、原則なき公営企業の民営化、自分の息のかかった人物の送り込みなど、イミョンバク政府の総体的な問題があらわになっている」と語った。露骨に資本家の立場に立って新自由主義政策を打ち出してきたイミョンバク政権への怒りだ。

 第2章 闘争計画の強化

 民主労総は4日に第5次闘争本部会議を開き、この間の闘争計画をさらに強化、米国産牛肉の流通に関する農水産食品部長官の告示が官報に掲載された時点でゼネストに突入することを決めた。14日までスト投票を行い、16日からのゼネストを準備している。
 また各労働組合は、職場を武器にした実に創意あふれる闘いを展開している。YTN、韓国放送、キリスト教放送など放送各社の労組は、イミョンバク政府の「放送掌握」の動きに対し闘争を宣言。ニュース専門チャンネルYTNの労組は、大統領放送特別補佐官出身者を社長に据えようとする政権側の圧力に対し阻止闘争を行う方針だ。
 運送を担う貨物連帯や鉄道労組は、米国産牛肉運送拒否を決めた。販売を担うサービス連盟は、百貨店や大型スーパーで米国産牛肉が販売されないよう経営陣に要求。また全国公務員労働組合は2日、「行政不服従運動」を宣言し、米国産牛肉広報指針を拒否すると表明した。
 職場を武器に、具体的な手段で米国産牛肉輸入阻止に立ち上がっている労働組合への期待は大きい。運輸労組はすでに5月2日、BSEの疑いがある米国産牛肉の「船積み船舶の入港阻止・輸送拒否闘争」を決議していたが、ロウソク集会に集まった参加者は「運輸」「運輸」と連呼し、運輸労組のホームページには支持が殺到して何度もダウンしたほどだ。
 歴史的な決起を前にしながらもイミョンバク大統領は6日、「米国との再交渉不可」の意志を明らかにした。青瓦台外交安保首席室は「国民が望むとおりにしたら青瓦台が『反米』になってしまう」と再交渉不可方針にしがみついている。10日にはハンスンス首相を始め全閣僚が辞任したが、イミョンバク打倒まで闘いがやむことはない。

 第3章 サミット粉砕へ

 闘いは6月10日のデモでひとつの頂点に達したが、今後もさらに拡大していくことは不可避だ。
 6月13日は、02年に2人の女子中学生が米軍車両にひきつぶされて死亡した事件から6年になる日だ。闘いが、牛肉と米韓軍事同盟を押しつける米帝への怒りに発展していくことは必至だ。
 民主労総は、組合員投票で可決されれば16日からゼネストに突入する。現場労働者には闘う気運があふれている。87年の民主化闘争時も、学生を先頭にした6月闘争の地平の上に7〜8月の労働者大闘争が展開された。韓国労働者階級は、局面をさらに決定的に打開する存在として前面に躍り出るだろう。
 何よりも7月初めにブッシュ大統領の訪韓が予定されている。ブッシュが韓国人民の怒りの炎に包まれることは間違いない。韓国労働者階級の闘いとひとつになり、日本の地でサミット決戦を大爆発させよう。