今、私たちが闘った指紋押捺撤廃闘争を考える 拒否者に応え職場で決起
今、私たちが闘った指紋押捺撤廃闘争を考える
拒否者に応え職場で決起
教訓生かし新たな闘いへ
習志野・自治体労働者 比悠 剛
第1章 はじめに
5月11日の「外登法・入管法と民族差別を撃つ全国研究交流集会」で、「指紋押捺制度を全廃に追い込んだ闘いの地平をふまえ、外登法・入管法−民族差別を撃つ新たな飛躍をかちとっていきましょう」と呼びかけられました。
この集会に参加した習志野市の自治体職場の仲間は、「入管闘争の新たな一歩を踏み出した感動的な集会だった」と語っていました。彼は85年に指紋押捺拒否者と団結し、職場で指紋押捺撤廃闘争を闘い、それによって処分を受けたのです。私たちは今、当時の指紋押捺撤廃闘争の資料を収集し、青年労働者と一緒になって討議を始めようとしています。
それは単に過去を振り返るためではなく、いま自治体労働者が自分の職場で労働者階級の立場に立ち、労働者階級の先陣を切って新たな闘いに踏み込んでいくための討議です。私はその討議が必ずプロレタリア革命とプロレタリア独裁の実現に結実すると思い描いています。
第2章 85年、動労千葉の闘いに学び
85年、私たちの職場に指紋押捺を拒否した在日青年が外国人登録済証明書の発行を求めてきました。ところが習志野市当局は発行を拒否しました。指紋押捺拒否者は労働組合執行部に支援を求めましたが、執行部は実質的に支援を拒否しました。こうして指紋押捺拒否者と支援者による対行政闘争が展開されたのです。それは同時に、自治体労働者の職場闘争として闘われました。
こうした職場の闘いは、三里塚闘争とジェット燃料輸送阻止闘争を動労千葉とともに闘ってきた青年労働者たちによって開始され、担われました。動労千葉は当時、三里塚反対同盟との労農連帯にかけ、ジェット燃料輸送阻止闘争や動労本部との分離独立、動労カクマルや学生カクマルとの流血の職場攻防を闘っていました。だから、当時の私たちは当然のごとく「外登法・指紋押捺制度は自治体の問題であり、自治体労働者こそ闘うべきだ」と一致し、市当局に公然と反乱を起こし、闘いを展開したのです。
それは市当局と真正面からぶつかる闘いであり、懲戒免職処分等をも覚悟した闘いでした。実際に、闘いの山場に向かう過程で、市当局は「勤務時間内に1時間職場を離脱した」と、賃金カットの不当な処分をかけてきました。
しかし、被処分者は、自分の事務机で窓口に「指紋押捺問題で処分撤回闘争中!」と掲げ、この弾圧と闘いました。
第3章 市当局の不当処分に屈せず
指紋押捺拒否者からは「支援する公務員労働者はいるが、当事者の市役所で労働者が決起したのは初めて、まして処分者を出したのは初めてだ」と激励されました。
こうした指紋押捺拒否者たちの必死の闘いによって、登録済証明書発行をあいまいにしていた首都圏の自治体は次々と登録済証明書を発行していきました。しかし、一方で発行しなかった自治体では、白腕章をつけた職場自警団が登場し、国家権力も姿を現してきました。そして、首都圏で最後まで残ったのが私たちの自治体だと指紋押捺拒否者たちから報告を受けたのです。
第4章 警察官出動の激突かちぬく
85年9月10日、証明書発行を請求した指紋押捺拒否者が市長との面談を求める行動に、全国から押捺拒否者と支援70〜80人が結集しました。そこには休暇闘争で決起した私たちもいました。
市長室の周辺には白腕章をつけた管理職と無理やり動員された市職員が数十人、正面玄関ロビーには私服刑事が数十人以上、さらに機動隊大型バス3台、指揮官車1台で約150〜200人の制服警官が配置されました。まさに国家暴力が前面に登場する体制だったのです。外登書発行を拒否された指紋押捺拒否者は不携帯で逮捕される、法務省通達で告発されるという緊張関係にあったのです。
一方、私たちは職場闘争によって、白腕章で動員された職員の多くが業務命令で仕方なく動員されたことを知っていました。ですから、いったん移動した指紋押捺拒否者たちを白腕章隊列が追いかけても、間に立ちふさがった私たちや同じ職場労働者の阻止線前で止まり、引き揚げました。
しかも、こうした非常事態は自治体労働者の怒りを呼びおこし、さらに議会開会中の市議会議員も怒り、市当局を追及する事態になったのです。
こうして、指紋押捺拒否者と支援する市会議員は市長と面談し、登録済証明書は発行されました。その結果、指紋押捺制度全廃に向け大きな前進を闘いとったのです。
それから約1カ月後、私たちは10・20三里塚二期決戦に決起しました。そこで2人の仲間が不当逮捕されましたが、その1カ月後には動労千葉の国鉄分割・民営化攻撃に対するストライキ闘争の支援行動に決起しました。しかも、浅草橋で戦闘があったのです。85年はこうした階級攻防の年でした。私たちはこうした階級情勢下で、指紋押捺撤廃闘争が闘われたことに核心があると考えています。
第5章 自治体職場の闘いは重要だ
当時の私たちは、勝利することだけに集中していたのですが、今あらためて職場で闘った指紋押捺撤廃闘争を考えると、職場での労働者階級の決起が社会を変える力であり、そして労働者階級は必ず決起するんだと実感できる闘いでした。
今年、私たちが人事評価制度の導入を阻止できたのも、私たちが自治体労働者の個別の課題だけでなく階級の立場から団結し、そして「自治体労働者は必ず階級の先陣に立つ」との確信があったからです。なぜならば、自治体労働者は帝国主義の支配機構のど真ん中にあって、労働者階級人民にすさまじい犠牲と収奪を強制する帝国主義の攻撃に、燃える怒りを蓄積させているからです。