2008年6月 9日

帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ⑥ 「恐慌対策」と労働者

週刊『前進』06頁(2346号3面2)(2008/06/09)

帝国主義強盗会議粉砕へ 
サミットのテーマを斬る ⑥ 
「恐慌対策」と労働者 
一層の大リストラ狙う 
石油危機並みのインフレも

 福田首相は、 洞爺湖サミットで「世界経済」を正式議題とすることを表明した。米住宅バブル崩壊は、3月には米大手証券の破綻(はたん)、アメリカ金融恐慌にまで進んだ。帝国主義者どもは、この経済危機が悪化するのをなんとか押しとどめようというのだ。
 しかし、どんなにあがいても、世界金融大恐慌はくいとめられない。結局、資本家どもは、労働者に対して大リストラと物価暴騰・インフレを押しつけつつ、さらには帝国主義間争闘戦と戦争を果てしなくエスカレートさせ延命のために労働者人民を犠牲にするのだ。
 動労千葉労働運動の核心は、時代認識と路線で団結していることにある。帝国主義を打倒する時が来た! 労働組合が、そしてすべての労働者がこういう鮮明な時代認識で立ち上がろう。

 第1章 世界金融大恐慌はとめられない

 3月に起きた事態は、アメリカ金融恐慌の始まりにほかならない。住宅ローン焦げつきの拡大は、米大手金融機関が保有する住宅ローン担保証券などの価値を暴落させ、巨額の損失を引き起こしている。サブプライム関連にとどまらず、優良とされてきた住宅ローン証券も暴落し、さらには住宅以外の企業・個人のローンすべてで信用が崩壊しはじめた。大手証券ベアー・スターンズだけでなく、資金繰りの悪化から他の金融機関も次々に破綻しかねない状況となった。これに対し米帝は、金融機関に対して直接に、あるいは金融市場を通して間接に資金を大量に出した。
 これで金融機関の連鎖破綻はいったんは防げた。ところが実は、その後も金融機関の資金繰り難はずっと続いている。貸し渋りも一段と強まっている。何よりも住宅価格がさらに下落し、住宅ローン焦げつきも増えている。しかも個人消費が鈍化し、企業収益も悪化し、実体経済がどんどん下降している。
 4月から総額1070億㌦(約11兆円)の所得税減税が始まっているが、その半分がローン返済や貯蓄に回るとみられ、"焼け石に水"だ。金融恐慌がいつ再激化してもおかしくない状況にある。世界金融大恐慌は何をもっても押しとどめられない。
 日本経済も、この世界金融大恐慌に直撃されている。すでに1〜3月の鉱工業生産はマイナスとなった。日本経済は対米・対中輸出への依存を深めてきたが、それが崩れつつある。米国向け輸出は昨年9月から減少に転じた。これに円高、原油高・原料高という最悪の要因が加わっている。このため、1〜3月期の上場企業の経常利益は前年同期比で約18%もの減益となった。09年3月期決算は5・8%減と、7年ぶりの減益となる見通しだ。特に日本経済の屋台骨をなす自動車産業と電機・電子産業が大打撃を受けつつある。
 また、国内金融機関のサブプライム損失はすでに1兆9千億円にも及んでいる。今後、優良とされてきた証券化商品も暴落していくから、損失はさらに膨れる。サミットをも転機にして、日帝こそ最も弱い帝国主義であることが露呈するのだ。

 第2章 改定パート法の正社員化のウソ

 このような世界金融大恐慌の現実化に対し、帝国主義はひたすら労働者を犠牲にして生き延びようとしている。それが大リストラと食糧・生活必需品価格の暴騰だ。
 政府発表の完全失業率ですら4月には4・0%と、すでに失業率が上がりつつある。4月から改定パートタイム労働法が施行されたが、「正社員化」などという宣伝は大ウソだ。小売りや外食大手38社(雇用パート約50万人)の調査では、今後5年間の累計でパートから正社員に登用する計画数は約5900人で、すでに正社員に転じた人も含めてパート全体の3%にすぎない。問題外だ。
 正社員でも、青年労働者の使い捨てが常態化している。大卒者の3年以内の離職率は、バブル期の87年卒が28・4%だったのに対し、04年卒は36・6%へと上昇。06年の正社員では、3年未満で辞めた人が全体のほぼ半分にも及ぶ。低賃金の長時間労働を押しつけて、非正規だけでなく正規雇用者をも、モノのように使い捨てにしているのだ。これが新自由主義だ。こんな帝国主義は、労働者の団結で今すぐ転覆しよう。
 さらに、原油・原料価格の急騰により、日本の3月の国内企業物価は前年同月比3・9%上昇と、第2次石油危機下の81年2月以来の高い伸び率となった。石油危機並みの物価暴騰が襲いかかりつつあるのだ。「1円でも安いものを」という生活を送っている労働者とその家族にとって、本当に死活問題ではないか。世界中で始まっているように、日本の労働者階級も生きるためにストライキと食糧暴動を爆発させよう。
 日本の労働者は今、職場で民営化・労組破壊、首切り・賃下げ・合理化と闘い、さらには社会保障解体・年金切り捨てと闘っている。これら一切の攻撃の張本人は誰か。洞爺湖サミットに集まる首脳連中だ。こいつらこそ、あらゆる新自由主義攻撃の頭目なのだ。憎むべき敵階級がそろいもそろって日本に集まるのだから、労働者の怒りをたたきつけるまたとない機会ではないか!
 職場で資本・当局と闘い、その怒りを何倍にもして洞爺湖サミット粉砕に立ち上がろう。新自由主義攻撃に勝利してきた動労千葉とともに、6・29闘争を爆発させよう。
 (島崎光晴)