2008年6月 9日

米ILWU 29の港をストで封鎖 闘争中止策す本部と対決 イラク労働者と団結築く

週刊『前進』06頁(2346号2面3)(2008/06/09)

米ILWU 29の港をストで封鎖 
闘争中止策す本部と対決 
イラク労働者と団結築く

 5月1日、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)は、アメリカ西海岸の29港を全部止めた。イラクの港湾労組は連帯メッセージを送り、1時間ストに決起した。
 世界史上初めて、戦争当事国の労働者が国境を越えて団結し、同時に戦略的職場を止めた。これは全世界の労働者に身震いする感動を与えた。
 今までわれわれは、「国際競争に生き残るため」とさんざん資本家から言われてサービス残業、過労死、自殺を強いられてきた。
 だが、「国際競争」なんか吹っ飛ばせる。戦争だって止められる。国を越えて団結すればいい。労働者は資本家に絶対勝てる。国を越えた団結も難しいことじゃない。団結を求めればいい。自分の職場でとことん闘えばいい。労働者の闘いは国を越えて必ず通じる。それを証明したのがILWUの港湾封鎖だ。
 国内の分断ものりこえられる。アフリカンアメリカンが7割以上を占めるILWUローカル10の集会にラティノ系移民が大挙参加し、ともに闘っている。
 港湾封鎖は、あらかじめ成功が約束されていたわけではない。ILWU本部は、最初から港湾封鎖を避けたがっていた。

 第1章 労働者の団結は法律・協約に優先

 2月の港湾部会(ILWUの港湾部門の最高議決機関)の会議では、ILWUローカル10が提出した「平和でなければ、働かないメーデー」決議案をめぐって大激論になった。7月1日に期限切れとなる現行労働協約の更改をめぐってPMA(太平洋海事協会=経営者団体)と交渉を進めている最中に反戦で港湾を止めるのは、交渉に悪影響を与えるというのが主な反対論だった。また、イラク戦争に反対すべきでないと考えている者さえいた。本部は大勢を見て、反対論にくみすることは避けた。
 だが本部は、メーデー港湾封鎖の組織化のためには何もしなかった。実際には、口実をつけて港湾封鎖の中止を狙っていることは明らかだった。
 港湾部会の決定は、外部に漏らしてはならない決まりだ。だが、組合員の職場討議をこれ以上遅らせては闘いがつぶされる。ランク・アンド・ファイル(一般組合員)の闘う労働者は、統制処分を恐れず公然たる闘いに打って出た。
 本部と右派への挑戦として決議を公表したのだ。これで各ローカルの組合員の討論は促進された。そして、ILWU本部が発表する前に世界の労働者がILWUのメーデー決起を知り、続々と支持を表明した。動労千葉が真っ先に支持したのは言うまでもない。
 統制処分をも恐れぬこうした活動家の行動は、もともと真の労働組合運動の精神に沿っている。ILWU1953年大会で採択された「ランク・アンド・ファイル組合主義の10の指導原則」は、「労働者の連帯(団結)は、他のすべてに優先する。いわゆる協約の不可侵性にも優先する。協約の決まりだからピケを越えて働けという労組役員の立場をILWUはとらない」と言っている。
 この原則を貫き、ランク・アンド・ファイルが決定した決議をおろそかにする本部と対決したからこそ、規則をたてに秘密裏にことを進めようとした本部の策動を封じることができたのだ。
 3月末、PMAは訴訟・国家権力導入の恫喝で5・1港湾封鎖中止を迫った。4月8日、本部はPMAに書簡を送り、港湾封鎖中止を通知したが、ローカル10を先頭とする勢力は直ちに巻き返し、本部に2月決議を尊重すると発表させた。
 4月17日にローカル10のヘイマン執行委員が発表した本部、右派ローカル指導部への批判文は、全ローカルで読まれ、ランク・アンド・ファイルを鼓舞激励した。
 これで、右派が執行部を握るローカルを含めて全港湾組合員が十分に討論することができた。体制内労働運動との徹底的な対決こそ、港湾封鎖勝利のカギだった。
 「体制内労働運動との対立が激化するとその組織下の労働者とともに闘えない」という塩川派や平田派の主張は現実を百八十度ねじ曲げている。
 イラクの港湾労組がILWUに連帯し、ストに踏み切ったのも、彼らが体制内労働運動と対決してきたからだ。彼らは、旧バース党系の労働組合や統治評議会に参加して労働者階級を裏切っているイラク共産党の労組支配、闘争圧殺攻撃と激烈に対決しながら組合を建設してきたのだ。

 第2章 動労千葉の連帯が共に道開いた

 屈服した本部に代わり西海岸の全港湾の指導部になったのが、「港湾労働者メーデー組織化委員会」だ。その共同議長、ローカル10のヘイマン、トーマス両執行委員は、03年から日本の3労組が呼びかける11月集会をともに担い、3労組、民主労総と交流し、討論してきた。昨年10月、ローカル10、34の主催、動労千葉などの出席でサンフランシスコで反戦労働組合会議が開かれた。「生産点で資本と闘うことが一切の軸。反戦闘争の軸も生産点」と確認した。メーデー決起で、それが見事に実行されたのだ。
 同時港湾封鎖に決起した米・イラク労働者と団結し、サミット粉砕のため6・29に決起しよう。