2008年6月 2日

(投稿) 奴隷労働なくそう 松下PDP判決に思う

週刊『前進』08頁(2345号7面4)(2008/06/02)

(投稿) 奴隷労働なくそう
 松下PDP判決に思う

 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ(PDP)」で請負社員として働いていた吉岡力さんは、同社の偽装請負を告発し解雇されました。この事件で、4月25日大阪高裁は、“偽装請負は職業安定法や労働基準法が禁じる違法な労働者供給であり、吉岡さんと松下PDPとの間には、工場で働き始めた当初から実質的に期限の定めのない直接雇用関係があった”ことを認定する画期的な判決を出しました。
 1審判決が労働者派遣法を盾に雇用関係を認めなかった点を明確に否定したのです。
 今年4月に開催された「偽装請負とたたかうシンポジウム」に参加しましたが、そこで吉岡さんが「偽装請負は労働者派遣法で解決すべき問題ではありません。偽装請負は職業安定法と労働基準法に違反しています」と発言されたのを聞いた時、「えっ、ずいぶん原則的に闘うんだなあ」とショックを受けました。
 私は地域の労働組合とともに偽装請負の派遣労働者を組織して、直接雇用と均等待遇を求めて闘ってきました。この間の労働局の対応は、私たちが会社に正規職採用を要求し、それに対して会社が3カ月更新の期間工という回答を出した時も、「正規職採用は望ましいが、今ある労働者派遣法に照らしてそれを会社に強制はできない」という許せないもので、私もなかばあきらめていました。だが、労働者派遣法は、そもそも間接雇用を禁止した戦後労働法制に違反しており、本来は派遣法の土俵上で闘うべきではなかったのです。
 今回の高裁判決は、労働局(厚生労働省)の見解を突き抜けて、吉岡さんの主張を全面的に認めたことが画期的です。「こんな働かせ方は許せない」「正規と非正規への分断は許せない」という吉岡さんの執念と闘いの勝利です。
 請負・派遣・期間工、そして毎日よれよれになるまで働かされている正規職。均等待遇はもちろんのこと、このような奴隷労働をなくすためにこそ、正規・非正規の壁をぶちやぶって団結をつくり出しましょう。
 (神奈川・吉沢春夫)