2008年6月 2日

帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ⑤ イラク・アフガン情勢 イランへ戦争の拡大狙う 世界戦争過程をいっそう促進

週刊『前進』08頁(2345号4面1)(2008/06/02)

帝国主義強盗会議粉砕へ
サミットのテーマを斬る ⑤
イラク・アフガン情勢
 イランへ戦争の拡大狙う
 世界戦争過程をいっそう促進

 第1章 イラク侵略戦争の泥沼化と敗勢

 帝国主義サミットは何よりも戦争会議だ。
 01年9・11反米ゲリラ戦争に対し「テロ根絶」を叫び、国際帝国主義は米帝ブッシュを先頭に10月7日、アフガニスタン侵略戦争を開始し、03年3月20日には米英日帝国主義を軸に、イラク侵略戦争に突入した。このアフガニスタン・イラク侵略戦争を歴史的契機に、帝国主義の基本矛盾の爆発が世界戦争に転化する過程が、本格的に始まった。これこそ洞爺湖サミットを根底で規定している内外情勢である。
 米英日を軸とする帝国主義の「多国籍軍」は、イラクを軍事占領と植民地支配下におき、中東制圧と石油資源の独占的略奪を図った。戦争の口実とした「大量破壊兵器の存在」は百パーセントうそだった。このイラク戦争の目的は「イラクの民主化」などではまったくなく、徹頭徹尾、帝国主義的な野望に貫かれていた。
 米軍のイラクでの無差別空爆により十数万人のイラク人民が虐殺された。米帝がフセイン政権を打倒し、軍事占領下でかいらい政権をつくり、シーア派、クルド勢力、スンニ派のイラク3分割支配を狙う中で、米軍は武装抵抗勢力に対する掃討戦を空陸から続け、イラクでの破壊と虐殺を繰り返している。しかしイラク人民の不屈の抵抗と反撃で、米帝の侵略戦争と軍事占領は泥沼化し、完全に破産している。
 しかも今や決定的なことは、占領と弾圧の困難を打ち破って、イラクの労働者階級が不屈の闘いに立ち上がっていることだ。帝国主義に石油資源を売り渡すかいらい政権の石油法の成立を阻み、5月1日には、米西海岸でのILWU(国際港湾倉庫労組)のストに連帯し、イラク港湾一般労組がストに決起した。戦争による分断をのりこえ、侵略国と被侵略国の労働者が団結して決起したことは、実に感動的な国際連帯の発展だった。
 米軍と多国籍軍は侵略戦争の泥沼化と敗勢の中で、今や進むことも撤退することもできず、ますます凶暴な戦争の激化と拡大で危機を打開しようとあがいているのだ。
 米大統領ブッシュは4月10日の演説で、米軍イラク駐留部隊の増派分を7月から3万人撤退させるが、追加削減は休止し、13万人態勢を夏以降も維持する方針を表明した。こうした米帝のイラク侵略戦争の永続化、イランへの侵略戦争拡大の動きを全面的に支持・推進しているのが、英、日を軸とした帝国主義だ。
 英軍はバスラ中心部から撤退したが、いまだ郊外拠点からバスラに進撃し、戦闘を展開している。日帝・航空自衛隊もクウェートを拠点に、バグダッドを始めイラク国内各地へC135で米兵と軍事物資を空輸し、侵略戦争を遂行している。

 第1節 米帝のイランに対する戦争重圧

 こうした中で、米統合参謀本部議長マレンは4月25日、「イラクや中東全域でイラン政府とイラン革命防衛隊が影響力を拡大していることをきわめて強く憂慮している」と表明。具体的に3月中旬のイラク南部バスラでの大規模な戦闘を挙げ、「イランがどれだけ深くイラクに浸透しているかが明らかになった」と強調、「イランはこうした活動を数カ月前に中止すると約束したが、そうではないのは明らかだ」と露骨に恫喝した。
 これまでも米軍は「イランによるイラク武装勢力への軍事支援」をあげつらい、イランを牽制(けんせい)してきたが、マレンは今回、米軍とイラク治安部隊がイラクを制圧できないのはイランのせいだと強弁し、イランへの戦争圧力を一段と強めてきたのだ。
 他方、米ホワイトハウスは、同じ4月25日の声明で、北朝鮮がシリアの核施設建設に協力していたと発表。シリアや北朝鮮と関係するイランへの軍事圧力を強める必要性があると強調した。米帝は、イラクからイラン、シリア、そして北朝鮮へと侵略戦争を拡大しようとしているのだ。
 他方、米帝ブッシュのイラク開戦に反対した仏独や中国・ロシアなどすべての帝国主義と大国が、アフガニスタン侵略戦争に参戦し、相互に争闘戦を激化しながら、競い合うように侵略戦争を展開している。
 だが、今や復活したタリバンの反撃と武装闘争の激化が、インド洋に展開する海自給油部隊を含む帝国主義連合軍を危機に追い詰め、かいらいカルザイ政権は、首都カブールに立てこもるのが精一杯という状況だ。
 アフガニスタンとイラクは、帝国主義の侵略戦争と世界戦争への最先端の戦場である。サミットは帝国主義各国が相互に争闘戦を演じながら、世界戦争へといよいよのめり込んでいく強盗会議だ。世界を第3次世界大戦の奈落に突き落とす帝国主義を、労働者階級の国際的団結をもって打倒しよう。(沢籐 隆)