〈焦点〉 第1章 具体的に動き出した改憲攻撃 「派兵恒久法」制定阻止へ
〈焦点〉 第1章 具体的に動き出した改憲攻撃
「派兵恒久法」制定阻止へ
自民党と公明党は5月23日、自衛隊の海外派兵を随時可能にする「派兵恒久法」制定にむけた与党プロジェクト・チーム(PT)の初会合を開き、6月15日が会期末の今国会中に法案要綱をまとめる方針を確認した。また同日、自民・民主・公明・国民新党の国防族議員による「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」も3年ぶりに活動を再開、恒久法の独自の法案化の検討に入った。
福田政権が恒久法制定に動きだした背景は、1月に衆院再議決を強行して成立させた対テロ新特措法の期限が1年で切れ、秋の臨時国会への提出が不可欠だからだ。しかしその上で、7月洞爺湖サミットを頂点に国際帝国主義の権益争いが極限化し、日帝ブルジョアジーにとって海外派兵への本格的踏み切りが文字どおり待ったなしの課題となっていることが本質的な問題だ。
派兵恒久法は、これまでのPKO法(92年成立)や対テロ特措法(02年)、イラク派兵特措法(03年)などによる海外派兵と次元の異なる、本格的な帝国主義的軍事外交政策への転換だ。決定的な点は海外での武力行使解禁である。
与党PTに配られた「恒久法の主要な論点」では、海外での自衛隊の活動類型に「警護」と「治安維持」が明示された。そのための「武器使用権限の整備」も打ち出した。イラクを占領中の米軍は、連日レジスタンスなどに攻撃されているが、こうした場合に「駆けつけ警護」として戦闘に加わることが露骨に想定されている。労働者人民への虐殺者として、帝国主義の侵略軍として、日帝・自衛隊が名実ともに名乗りを上げる内容だ。これは「侵略し、殺し、殺される」日常の中に、日帝・自衛隊と日本国家全体を引きずり込むことを意味する。9条改憲と国家総動員体制づくりも、待ったなしの日程に上る。
日帝・ブルジョアジーが海外派兵の本格化に動き出したのは、小泉政権が、海外派兵の恒常化について「グローバル化の進む世界で、日本の国益と存亡がかかった死活的課題」(国際平和協力懇の報告書=02年12月)だと宣言して以来である。01年のアフガニスタン侵略戦争から03年イラク侵略戦争開戦を画期として、帝国主義による新たな世界戦争の扉が開いたことに対し、帝国主義強盗国家の一員として、争闘戦に勝ち抜いて延命するために、日帝・小泉は戦争国家化と軍事外交政策への本格的転換を表明したのだ。
そして経団連など財界3団体が、03年から05年にかけて改憲提言を次々と発表、その核心問題が恒常的な海外派兵体制だった。アジア侵略と第2次大戦の敗戦から六十数年、日帝はついに帝国主義と資本の延命イコール戦争である、というむき出しの帝国主義綱領を打ち出したのである。
洞爺湖サミットは、世界の帝国主義が失業と貧困、民営化、そして戦争の災厄に労働者階級を引きずり込み、その徹底的な犠牲の上に延命をはかる攻撃だ。福田政権は恒久法の今秋臨時国会での制定も狙っている。サミット決戦で福田政権を打倒し、恒久法粉砕・改憲阻止へ突き進もう。