2008年6月 2日

国労5・27弾圧裁判再開公判 弁論分離を実現。新たな闘いへ 被告団・弁護団が更新意見

週刊『前進』08頁(2345号2面1)(2008/06/02)

国労5・27弾圧裁判再開公判 弁論分離を実現。新たな闘いへ
 被告団・弁護団が更新意見
 迫力ある陳述、新裁判長を圧倒

 5月23日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第87回公判が東京地裁刑事第10部で開かれた。
 5・27臨大闘争弾圧は、02年5月27日の国労臨時大会で、鉄建公団訴訟原告を査問委員会にかかける方針を押し通した国労本部に抗議し、大会参加者に対するビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が、「暴力行為」にデッチあげられた弾圧だ。被告たちはこの弾圧に立ち向かい、5年余にわたる裁判闘争を貫いてきた。
 今回の公判は、昨年12月26日以来、5カ月ぶりに開かれた。再開された公判で、被告団は新たな裁判闘争に踏み出した。
 裁判官の交代に伴う弁論更新手続きが行われ、満席の傍聴者を背に被告団と弁護団が更新意見を述べた。その迫力ある陳述は、最高裁から送り込まれた新任の植村稔裁判長を圧倒した。

 第1章 旧弁護団解任の理由を展開

 前回公判以来の5カ月間、富田益行被告団長を始め7人の被告たちは、旧弁護団を解任して弁護団を再編し、さらに松崎博己被告との弁論分離(裁判の分離)を裁判所に求め、実現させた。
 新たな弁護団には、葉山岳夫弁護団長、鈴木達夫主任弁護人、西村正治、藤田正人、松田生朗、山本志都の各弁護人が加わった。
 新たな体制を整えた被告団は、あふれるばかりの勝利感と闘志でこの公判に臨んだ。新弁護団も緊張した面持ちの中に不動の決意をにじませた。
 公判では、富田被告団長、東元(あずまはじめ)被告、小泉伸被告が意見陳述に立った。
 富田被告団長は冒頭、旧弁護団解任と松崎被告との弁論分離の問題に触れ、次のように発言した。「私たちは、被告団の団結を守り、国鉄闘争の勝利をめざして、この裁判を階級的原則に基づいて闘いぬくために、自らの決断をもって旧弁護団を解任したのです」「旧弁護団に一貫していたのは、『被告人は黙って弁護人の言うことを聞いていればいい』という被告人無視の姿勢でした。こうした旧弁護団の独断専行に対して、私たち被告人がとりうる手段は解任通告以外に何があったでしょうか」
 富田被告はまた、被告団を先頭に4月26日の尼崎事故弾劾集会を闘いとった地平を踏まえ、尼崎事故の全責任はJR西日本にあると徹底的に断罪した。さらに富田被告は、安全問題を追及して職場闘争を貫いてきた自己史を語り、5・27臨大当日のビラまき・説得活動は、闘争団への統制処分を阻止するとともに、職場からJR資本と闘うことを本部派組合員に訴えるためのものだったことを強調した。
 東被告は、国鉄分割・民営化を前に人材活用センターに収容されて以来、鉄道本来業務を奪われ、喫茶店や駐車場管理、植物栽培などの不当配属職場をたらい回しされる中でうつ病を発病したが、病気との闘いを資本との闘いと一体のものとして闘いぬいてきた経緯を語り、「国労人生のすべてをかけてこの弾圧に立ち向かっていく」と固い決意を表明した。また、階級的団結を貫く動労千葉の闘いと、これに連帯してきた国労共闘の闘いに触れ、「解雇も辞さず、生死をかけて団結を守りぬくのが労働者階級だ」と断言した。
 小泉被告は、運転士の職務を奪い、不当配属を強いてきたJR資本を怒りを込めて弾劾するとともに、「私は33年間、国労組合員として誇りをもって闘ってきました」と意気高く宣言した。そして、闘争団を統制処分に付そうとした5・27臨大の不当性と、これに対して闘われたビラまき・説得活動の正当性を明快に語りきった。
 弁護団の更新意見を鈴木主任弁護人と葉山弁護団長が読み上げた。鈴木弁護人は、7被告による旧弁護団解任と松崎被告との弁論分離が不可避となった理由を説き明かした。(全文別掲)
 葉山弁護人は、国鉄分割・民営化が新自由主義の戦略的攻撃として仕掛けられたことを鋭く暴き、これに抗して闘われた動労千葉のストライキと、動労千葉との連帯を貫いてきた国労共闘の闘いの歴史的意義を縦横無尽に展開した。
 それらの説得力ある陳述に心底共鳴した傍聴席から、期せずして拍手がわき起こった。だが、裁判長は制止できない。
 旧弁護団を解任し、弁論分離を実現して、新たな裁判闘争に踏み出した被告団の表情は底抜けに明るい。こうして7被告は、第2次国鉄決戦の主体に躍り出た。