2008年5月26日

〈焦点〉“年金財源”で大増税狙う福田 消費税「最高18%」と試算

週刊『前進』06頁(2344号3面4)(2008/05/26)

〈焦点〉“年金財源”で大増税狙う福田
 消費税「最高18%」と試算

 政府の社会保障国民会議は5月19日、基礎年金の財源をすべて税でまかなった場合、09年度には消費税率が9・5〜18%になるとの試算を公表した。これは、現行の保険方式維持派と全額税方式論者の対立があることを前提とした上で、日帝が近い将来狙っている消費大増税の導入に向け、労働者人民への本格的な攻撃に踏み出したものとして、重大な情勢である。
 今回の試算は現在の保険方式を「全額税方式」に変更した場合の数値なので、表面上、年金保険料負担は減るが、消費増税との差し引きで年金受給者や労働者世帯、とりわけ低所得者世帯では大幅な負担増となる。またこの全額税方式の重大なポイントは、年間3兆〜4兆円にのぼる厚生年金の企業拠出金がゼロになることだ。
 消費増税は、日帝ブルジョアジーと政府がつくり出してきた巨額の財政赤字(国と地方を合わせて累積1千兆円超)が解決不能となり、帝国主義の体制が破産しているツケを、すべて労働者人民に転嫁する大衆収奪攻撃としてある。特に全額税方式の場合、年金保険料を免除されていた低所得層に、消費大増税による負担が「公平に」襲いかかる。すでに年金を受け取っている高齢者も、年金受給額は増えず消費税の支払いだけが増える。いったい消費税率が「18%」になって、今日のリストラ・賃下げ、貧困化、社会保障解体、インフレの中で、労働者はどうして生きていけというのだ。
 そもそも「国民会議」は、福田政権が「社会保障のあるべき姿を議論する」と称して今年1月に発足させた御用機関である。前経団連会長の奥田碩らがメンバーの中心で、大資本本位の新自由主義政策を「社会保障の議論」にかぶせて誘導する機関となっている。また、連合会長の高木剛が会議メンバーに加わったことが重大で、日帝の増税路線に連合と民主党があらかじめ取り込まれているのだ。
 「全額税方式」導入論の源流は、経団連・奥田ビジョン(03年1月)である。同ビジョンで奥田は、「社会保障と税財政の抜本的構造改革」の中心的課題として「消費税率18%化」を明示に打ち出していた。さらに昨年9月には経団連会長の御手洗冨士夫が、基礎年金について「全額税方式が望ましい。社会保障と税制を抜本的に見直す」とぶちあげている。
 彼ら日帝ブルジョアジーの主眼は、徹底的な大衆収奪と法人税率の引き下げである。要するに「税制の抜本見直し」とは、消費税率の大幅アップであり、その財源で社会保障費をすべてまかない、法人税減税もやれということだ。
 さらに消費大増税は戦争・改憲の攻撃と一体である。日帝ブルジョアジーは軍拡・戦争の最大の財源として消費税アップを狙っている。しかもこの攻撃に連合・高木と民主党が組み込まれ、加担していることは、断じて許し難い。そもそも「全額税方式」とは連合と民主党の主張でもあるのだ。
 ついに本格的な消費大増税の攻撃に踏み出した日帝と福田政権を、労働者階級の団結とサミット決戦で打倒する時が来ている。