2008年5月26日

〈焦点〉 中国スターリン主義の“犯罪” 「四川大地震」も人災だ!

週刊『前進』06頁(2344号3面3)(2008/05/26)

〈焦点〉 中国スターリン主義の“犯罪”
 「四川大地震」も人災だ!

 四川大地震は、死者4万人、行方不明者が3万人を超え、中国当局はいまだに被害の正確な実態も把握できないでいる。被災現場では無数の人びとが衣食住の危急を訴え、山崩れや土砂ダムの決壊など、二次災害も懸念されている。これはビルマを襲ったサイクロンによる大災害と同様に、単なる自然災害では断じてない。中国スターリン主義の官僚的支配体制とその反人民的政策のもたらした大惨事そのものである。
 この地震での犠牲がこれほどの規模に及んだのは、家屋・建造物の倒壊、とりわけ病院や学校などの公共建築物が、いとも簡単に崩れ去り、おびただしい人びとが生き埋めとなったことによる。
 中国教育省によると損壊した校舎は四川省内だけでおよそ7千。全省の小中学校2万2千校のおよそ3分の1が崩落し、子どもたちに犠牲が集中した。父母らがわが子を捜し求めて必死に校舎のがれきをかき出す中で、コンクリートが指でこすっただけでボロボロと崩れ、鉄筋は鉛筆のような細さであることが、誰の目にも明らかになった。地震が起きればひとたまりもなく倒れるのは必然だったのだ。その一方で、党・政府の建物は堅固に造られていて倒壊を免れている。わが子を失った悲しみは、次々と怒りに変わった。
 しかも中国では1976年に死者24万人を出した唐山地震が起き、その後も四川省に隣接する青海省や雲南省など内陸部で、M7・0級の大地震が何度も起きていた。しかし必要な震災対策はとられず、逆に耐震強度を度外視した「豆腐渣(とうふさ=おから)工事」と呼ばれる手抜き工事が横行していた。地方官僚は財政を私物化し、建設業者と癒着して建材の質を落とし、必要な工事を省略して建設費を安く抑え込むことで利ざやを稼ぎ、口止め料を受け取る。こうした腐敗関係が日常茶飯事だったというのが現実だ。
 インターネット上には、「腐敗官僚と不正業者が子どもたちを殺した」などの政府批判が次々と書き込まれているが、当局はこれらの削除に躍起となっている。
 まさにこの未曽有の大災害は、最末期帝国主義のグローバリズム・新自由主義政策の展開のもとで、それにのみ込まれながら、改革開放路線による野放図な資本主義的政策と経済膨張に突進してきた中国スターリン主義の矛盾と危機の爆発そのものである。
 この中で膨大な農民が無権利の低賃金出稼ぎ労働者とされて搾取・収奪され、農地は奪われ、都市と農村の格差は一層ひどいものになった。これはスターリン主義体制の土台を崩壊させる危機を必然的に蓄積している。
 残存スターリン主義として国家の威信をかけた「北京五輪」は、今やチベット問題と四川大地震で、完全に中国危機の焦点に転化した。中国全土でこの間、都市における労働者や農民工のストライキ、農民の土地占拠、そして諸民族の解放を求める決起が拡大している。こうした闘いに連帯して、反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命の展望を切り開くために団結し決起しよう。それが日本の労働者階級の進むべき道だ。