帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ③ 主因は投機マネー流入 米バイオ燃料政策で加速
帝国主義強盗会議粉砕へ
サミットのテーマを斬る ③
主因は投機マネー流入 米バイオ燃料政策で加速
インフレと食糧危機
洞爺湖サミットのテーマとして急浮上しているのが、世界的な生活必需品の価格高騰=インフレと食糧危機だ。サミットではこの食糧危機問題が議題となる。しかし、一切の元凶は帝国主義の世界支配にある。特に80年代以来のグローバリズムと新自由主義が、必需品高騰と食糧危機を引き起こしたのだ。そうした歴史的大罪を犯した張本人たちがサミットに集まり、「食糧危機への援助」などと称するのを絶対に許してはならない。
すでに世界中で人民が食糧暴動に立ち上がっている。帝国主義国でも、物価高騰でますます生活できなくなった労働者階級がストライキに決起している。プロレタリア世界革命が現実に始まっているのだ。
第1章 原油や穀物価格が異常な急上昇
物価高騰はすさまじい。もともと原油価格はイラク戦争の開始から上がり続けていたが、5月9日にはついに1バーレル126㌦台となった。鉄鉱石など他の原材料も高騰している。この影響でガソリンを始め生活必需品が世界中で暴騰している。06年秋からは穀物価格も上がり始め、トウモロコシ、大豆、小麦、さらには長粒種米にまで及んでいる。価格はいずれも2・5倍ほどに達した。
なぜ、原油や食糧の価格が上がっているのか。何よりも、投機マネーがこれらの市場に流れこんでいるからだ。原油の原価とも言える油田の生産コストは、中東の既存の大規模油田で1バーレル3〜8㌦、メキシコ湾の深海油田など採掘条件の厳しい新規油田でも30㌦ほど。中国やインドの需要増加で値上がりしている面もあるが、そうした実需による上昇はせいぜい10〜20㌦と言われる。120㌦のうち70㌦以上が投機資金の流入による押し上げ分だ。
とくに昨夏からの世界金融大恐慌により、投機マネーが株式などの金融市場から原油・穀物などの商品市場に一段とシフトした。しかも、米欧は金融危機に対して市場に資金を大量供給しているが、そうして膨らんだ資金も商品市場に流れこんでいる。こういう好き放題の投機を可能にしたものこそ、80年代以来の新自由主義と金融自由化だ。
世界金融大恐慌下で金融商品でもうからなくなったから、原油・穀物の価格をつり上げてもうけようとする。もはや、世界の労働者人民を飢餓と死に追いやることでしか、資本の利潤増殖ができなくなったのだ。これほど資本家と労働者の非和解性を示すものはない。
第2章 自動車のために人民が飢える!
価格高騰に追い打ちをかけているのが、米帝ブッシュ政権のバイオエタノール増産政策だ。米帝はイラク戦争で石油を独占的に確保しようとしたが、戦争の泥沼化で危機に陥り破産した。そこで飛びついたのが、トウモロコシを材料にしたバイオ燃料の増産だ。昨年末の新エネルギー法では、米国トウモロコシ生産の半分をエタノール生産に振り向けるという方針を掲げている。すでに07年度に、米国産トウモロコシのうちエタノール向けが輸出向けを初めて上回った。
この米帝政策がトウモロコシ価格の急騰を引き起こした。肉・牛乳・卵・チーズなどは元をたどると、トウモロコシを飼料にした動物からつくられており、これらすべての食品も値上がりした。しかも、トウモロコシの作付面積が急拡大する一方、作付面積が減少した大豆・小麦の価格が高騰した。
要するに米帝は、イラク戦争で石油を安定的にぶんどれなくなったものだから、トウモロコシを使って自動車燃料をひねり出そうというのだ。それが世界の食糧危機を促進している。自動車を動かすために、世界の労働者人民が飢えて死にさらされる。こんな社会は一刻も早く転覆しなければならない。
さらに長期的にみると、グローバリズムによって原油・穀物の世界的な需給構造が崩れ、需要は増えているのに供給はそれほど増えていない、あるいは減っている。特に中国やインドの工業化が原油・穀物の消費を激増させ、中国は今や大輸入国に転じつつある。一方で、中国を始めアジア諸国の工業化は農業の軽視・破壊を伴い、農業生産の減少と穀物自給率の低下を招いた。コメの収穫面積もインド、中国では減少している。
エネルギーと食糧の問題の根本的解決は、プロレタリア世界革命以外にない。食糧危機はアジア諸国の工業化に伴う矛盾でもあるが、その工業化は革命の担い手である労働者階級を膨大に生み出してもいる。資本主義はどこまでも矛盾を深めるが、同時にその「墓掘り人」をもつくり出すのだ。そして、日本の労働者が一人でも職場で決起すること、それこそ世界の労働者の団結につながる。
(島崎光晴)