人事評価の本格実施許すな 公務員の血の入れ替え狙う攻撃 “絶対反対”で隣の仲間と団結を
人事評価の本格実施許すな
公務員の血の入れ替え狙う攻撃 “絶対反対”で隣の仲間と団結を
第1章 競争・分断・評価で団結破壊策す
能力・実績主義、人事評価を柱とする改悪国家公務員法が昨年6月、安倍政権のもとで成立し、来年4月から本格実施される。また、同内容の地方公務員法改悪案も昨年5月、国会提出され、今国会で継続審議されている。これらを背景に、すでに全国の自治体で新たな人事評価制度が急速に実施されている。戦後自治体労働運動の画期をなす攻防が始まった。
また福田政権は4月4日、国家公務員制度改革基本法案を閣議決定、国会提出した。連合・自治労本部、全労連・自治労連本部は、労働基本権が盛り込まれず”約束が違う”と嘆いている。政府は、労働基本権を認めない理由として「公務員が7日間もゼネストをしたら大変なことになる」と例を挙げている。自治労・自治労連本部とも、当局に屈服し協力・忠誠を誓っているのに、敵は何に恐怖しているのか。ここに4大産別決戦の核心問題がある。
任用、賃金、分限など人事管理のすべての基礎に人事評価が据えられようとしている。これは、自治体労働者が戦後の闘いで職務職階給を食い破ったなかで成立した終身雇用・年功賃金制を解体する大攻撃だ。
第2章 分限処分=首切りに評価を活用
一人ひとりの職員の成績、貢献度、働き方などによってAからEまで5段階の評価がされ、それに基づいて昇給や一時金の額が決まる。降格や分限処分=免職もできる。組合員の競争があおられ、一人ひとりがバラバラに分断され、当局との個別交渉ですべてが決まる。人事評価制度の本質は”努力すれば正しく評価され、報われる”というものではまったくない。労働者への管理・抑圧、競争、差別・分断の強化、組合空洞化、団結解体なのだ。
人事院は昨年の国家公務員法改悪を受け、「公務員人事管理に関する報告」で「一定以下の低い評価結果を分限処分の契機とするとともに、処分にあたっては評価結果を活用することが必要である」と言っている。
要するに、人事評価を首切り・リストラ・民営化に活用しろということだ。
実際、社会保険庁の日本年金機構への改編にあたって、処分歴がある「成績が悪い職員(D、Cクラス)」700人が解雇されようとしている(再就職をあっせんされる)。応じない職員は分限免職される。
にもかかわらず自治労本部は2001年以来、「4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)、2要件(労働組合の関与・参加、苦情解決制度の構築)」が満たされればOKと、反対のポーズすらとらず、攻撃を受け入れている。
このなかで現在、都道府県の8割、市の4割、町村の2割が新たな人事評価制度を検討・導入している。1〜2年で大部分の自治体が実施しようとしている。すでに「能力開発プログラム」などと称して「勤務成績不良者」を職場からたたき出す攻撃が進行している。
現場には怒りがあふれ出している。当局への怒りと、それに屈服・協力し、仲間同士を競争と団結破壊に追いやる体制内労組幹部への怒りだ。
全国で労組交流センターの仲間が「人事評価制度は首切り制度だ。団結破壊、労組解体の攻撃だ」と行動を開始している。「絶対反対」の闘いが始まるや、職場に大きな分岐・流動が起こり、体制内指導部との激突も開始されている。
第3章 人事評価は公務員制度改革の要
新たな人事評価制度導入は、日帝の新自由主義攻撃、戦争と改憲、民営化—道州制導入・国家大改造攻撃の「集約点」である公務員制度改革の中心に位置づけられる。
日帝は、95年日経連プロジェクト報告を決定的メルクマールに、規制緩和・民営化—労組破壊、不安定雇用攻撃を全面化させてきた。その一方で中央省庁改革、地方分権一括法、市町村合併攻撃を開始した。市場原理導入による地方の破壊と各自治体のサバイバル戦の開始は「夕張」をもたらし、道州制を引き寄せてきた。
政財界は公務員制度改革攻撃を、これら一切合切を集約した「国のかたちを変える」決着的な攻撃、「改革の総仕上げ」(日本経団連)と位置づけてきた。福田官房長官(当時)は00年、「公務員制度改革とは公務員に魂を入れる作業」「新しい政府で働く者は新しい公務員でなければならない」と発言した。国鉄分割・民営化の「血の入れ替え」と同じ論理であり、国家に対する忠誠を基準としている。
発足直後の小泉政権が01年に出した公務員制度改革大綱は「行政改革は内閣機能の強化と省庁の再編とともに、人材・任用にかかわる制度の改革によって達成される」として、能力等級制度による能力・業績主義の導入を呼号した。それが新たな人事評価制度である。
05年4月に日本経団連が発表した「さらなる行政改革の推進に向けて——国家公務員制度改革を中心に」は階級意志をよりむき出しにしている。「総合的な人事評価制度の確立」を叫び、”なぜ「公務員の出血整理」、分限免職ができないのか。それができないと事務・事業の再編、民間開放の推進などリストラクチャリングが進まない”とわめいている。
公務員労働者を資本と国家の延命のための犠牲にする決定的な仕掛けが人事評価制度なのだ。
第4章 習志野市の仲間は導入を阻んだ
新たな人事評価制度導入との闘いこそ、革命をめざす自治体労働運動の潮流をつくり出す決定的な闘いだ。
「人事評価制度絶対反対」の闘いを巻き起こそう。ビラまきを開始しよう。目標管理、自己申告などの提出拒否、面接拒否で闘いの火の手を上げよう。組合員と討論し、体制内労働運動指導部の妨害、当局による処分攻撃と断固対決しよう。その激闘の試練の中から強固な階級的団結をつくり出そう。
千葉・習志野市職労の闘う労働者は「管理職の人事評価制度」試行の段階で、組合とは別に仲間を募って反対運動を始め、一般職への人事評価制度の今年度導入を断念させた。自治労連系組合指導部が屈服し、闘う方針を出さないなかで、絶対反対の運動を組織し勝利したのだ。団結をつくり出して闘えば絶対に勝てる。
人事評価制度導入粉砕の闘いで団結の力を培い、国家公務員制度改革基本法案、地方公務員法改悪案を粉砕しよう。戦争と改憲、新自由主義政策、民営化—道州制・国家改造・公務員200万人首切り・労組破壊攻撃を打ち砕き、福田政権を打倒しよう。5月自治労中央委員会闘争、6〜7月サミット粉砕決戦に立とう。
(火川 高志)