帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ② 「地球温暖化」問題
帝国主義強盗会議粉砕へ
サミットのテーマを斬る ②
「地球温暖化」問題
最近数十年で急進展
解決は帝国主義の打倒
洞爺湖サミットの中心テーマの一つに地球環境問題、とりわけ「温暖化」問題がある。実際に地球の人為的温暖化は、最末期帝国主義のグローバリズムと新自由主義のもとで、特にこの数十年間に急速に進んでいる。
しかし、サミットでの帝国主義強盗の頭目どもの議論で、地球温暖化問題についての何らかの進展や「解決策」が出てくるわけでは断じてない。温暖化問題の元凶は資本主義・帝国主義の貪欲(どんよく)で野放図な利潤追求の衝動と活動にあり、帝国主義を打倒しプロレタリア世界革命をやることなしには、打開策など一切ないからだ。
第1章 石油産業などは~否定論”を展開
1㌧の炭素(C)を燃やすと、いわゆる「温室効果ガス」の最大の根源である二酸化炭素(CO2)が3・7㌧発生する。空中に排出された二酸化炭素は、約半分は徐々に海洋や森林に吸収されるが、残りの大半は大気圏に滞留し、地表からの熱の宇宙空間への放射を妨げ、平均気温が15度で一定してきた地球の温度を継続的に上昇させる。これが「地球温暖化」のメカニズムだ。
この増加した熱エネルギーのために大気中の水蒸気の循環が激しくなり、一方では降水量が増え台風・サイクロン・ハリケーンが大型化し、他方では砂漠化や、氷河・氷床・永久凍土などの溶解が進む。個々の「異常気象」が積み重なり、ついには「気候変動」となり、破滅的な環境破壊を引き起こしていく。
21世紀を迎えた地球環境は、最末期帝国主義のグローバリズム・新自由主義のもとで、今や完全に取り返しのつかない事態に直面しているのだ。
しかし、米大統領ブッシュや副大統領チェイニーに象徴されるように、二酸化炭素排出の最大の元凶である石油や鉄鋼・電力などの巨大資本の利害を体現する帝国主義ブルジョアジーどもは、「地球の温暖化は起きていない」「温暖化しても何も困らない」などと主張している。
だが地球温暖化は今や否定し難い事実だ。それは国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第4次報告(07年)などでも、科学的に結論づけられている事柄である。
大気中のCO2濃度は産業革命以降、現在までに30%以上増加した。特に1965年から2005年までの40年間で、世界のエネルギー消費量は2・5倍、経済規模は4・3倍に拡大した。現在、世界で毎年72億炭素㌧(CO2換算ではこの3・7倍)の二酸化炭素が排出されているが、海洋や森林の吸収可能量は31億炭素㌧。この排出量と吸収量を均衡状態にし、地球の平均気温を1990年比で2〜3度以内の上昇に抑えなければ、世界全域が生命の存続にもかかわる壊滅的被害を受けることになる。
しかし二酸化炭素の排出量を半減、またはそれ以上に減らすなどということは、資本主義が資本主義であり、帝国主義が帝国主義であるかぎり、不可能だ。資本主義・帝国主義をプロレタリア世界革命で打倒し、社会主義・共産主義を労働者階級の力で建設することのみが、温暖化問題をも解決する道なのである。
第2章 米帝は25年まで排出量を増やす
米帝ブッシュは4月16日、地球温暖化防止に向けた新目標なるものを発表し、温暖化防止策は「現実的で、効果的な対策でなければならない」として、2025年までに温室効果ガス排出量の伸び率をゼロにすると表明した。しかしこれは25年までの17年間は、排出量を拡大し続けるという宣言である。米帝は温暖化対策など、何も実行するつもりはない。これが97年採択の京都議定書を批准さえしていない米帝の本音なのである。
その上で、京都議定書で定めたCO2削減なども、一方ではEUや日帝などの帝国主義国が「環境技術」を新興諸国に売り込み、他方ではCO2排出量の売買(排出権取引)によって排出を続けつつ帝国主義間の争闘戦を展開していくものであり、本質的に実効性の欠如したものでしかない。実際、サミットに向け3月に千葉で開かれた「気候変動」などに関する閣僚級対話も、具体的な進展は何もなかった。しかも帝国主義は温暖化問題を原発推進やバイオ燃料政策の展開のテコとして徹底利用している。
取り返しのつかないまでの温暖化と自然破壊を極限まで推し進め、何よりも戦争によって地球環境を破壊しているのが最末期帝国主義だ。その革命的な打倒に向け、サミット決戦の大爆発をかちとろう。
(上川 誠)