2008年5月12日

4・26尼崎 事故現場へ怒りのデモ 第2次国鉄決戦へ突破口

週刊『前進』06頁(2342号2面1)(2008/05/12)

4・26尼崎 事故現場へ怒りのデモ
 第2次国鉄決戦へ突破口
 動労千葉・国鉄労働者を先頭にJR体制打倒誓う

 107人の乗員・乗客の命を奪ったJR尼崎事故から3年目の4月26日、事故現場に「事故弾劾」「JRは安全な線路に造り直せ」という怒りのシュプレヒコールがとどろいた。全国から駆けつけた560人の労働者を結集したこの日の闘いは、第2次国鉄決戦の突破口を切り開くものとなった。05年4月25日の尼崎事故が示したものは、労働者が階級的団結を打ち固め、資本と闘わなければ、殺されてしまうという現実だ。JRによって殺された107人の犠牲者の無念と怒りに応える道は、JRの内部から資本に対する労働者の怒りを解き放つことにほかならない。
 4月26日午後1時、尼崎駅北口広場で「JR尼崎事故弾劾! 4・26労働者集会」が始まった。
 開会あいさつに立った動労千葉の田中康宏委員長は、「事故を起こしたJR幹部を批判することは誰にでもできる。しかし問題は労働組合が何をしていたかだ。だから動労千葉は安全運転闘争に立った。この闘いに、JRは『違法行為』と叫び、運転席に管理者を乗り込ませ、仲間は次々に処分を受けた。JRでは安全を守ることが犯罪になる。だが、譲れないものは譲れない。規制緩和で企業が好き勝手やる社会のあり方を変えよう」と声をからして訴えた。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武谷新吾執行委員がアピールに立ち、アメリカの運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんからのメッセージが読み上げられた。八尾北医療センター労組と部落解放同盟全国連西郡支部の特別報告が続いた。
 国労5・27臨大闘争弾圧被告団長で国労兵庫保線分会の富田益行さんが基調報告に立ち、尼崎事故直後から現場の国労組合員が毎年、事故弾劾の集会を続けてきたと報告した。そして、その闘いが全国の労働者を結集し、4大産別を先頭に新自由主義と全面対決するこの日の闘いに発展したと強調した。また、尼崎事故の原因が、無謀なスピードアップ、日勤教育に示される「命令と服従」の労務支配、安全を無視して造られた急カーブなどにあることを指摘し、「運転士一人に責任を転嫁することは絶対に許せない」と声を強めた。富田さんは、青年労働者を先頭に現場から決起してJR体制を打倒すると宣言し、JRに屈服する国労西日本本部を弾劾して、1047名の解雇撤回と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ全国に打って出る決意を述べた。

 第1章 団結し闘って安全は守れる

 集会に参加した国鉄労働者が演壇前に勢ぞろいした。
 動労千葉争議団の高石正博さんは、船橋事故闘争の中で自身が組合活動に目覚め、動労千葉の団結がつくられていった歴史を語り、「組合が団結し闘ってこそ安全は守られる」と述べ、1047名の解雇撤回はこうした闘いの中でこそかちとられると強調した。
 国労秋田闘争団の小玉忠憲さんは「1047名の解雇撤回の闘いと、安全を守る闘いは一体だ」と発言し、5・27臨大闘争弾圧を徹底的に弾劾して「公安警察と一体化した国労本部を含む4者・4団体路線でどうして勝てるのか」と声を強めた。国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんも、「私は解雇撤回の原則を絶対に曲げない」と断言した。国労バッジ着用への不当な処分と闘う国労組合員の発言が続いた。
 国労5・27臨大闘争弾圧被告団を代表して発言した原田隆司さんは、弁護団を再編して新たな闘いに踏み出した闘いに触れ、「われわれは1047名をJRに取り戻す裁判、階級に責任を持てる裁判をやる」と言い切った。5・27臨大闘争弾圧裁判弁護団長の葉山岳夫弁護士も「腐敗した国労本部を打倒し、JR体制と帝国主義を打倒するために裁判闘争に勝利する」と宣言した。
 教育労働者、自治体労働者、全逓労働者、医療労働者、民間労働者、学生が決意を述べた。
 集会後、参加者は事故現場までのデモに出た。警察の不当な規制を跳ね返してデモ隊は進んだ。事故現場のマンションと急カーブが右手に迫る。ここで107人の命が一瞬にして奪われたのだ。
 尼崎事故を二度と繰り返させないためには、労働者が階級的団結を固め職場から資本と闘いぬくほかない。体制内のすべての労組が事故弾劾を口にすらできない中で、動労千葉と国労5・27臨大闘争弾圧被告を先頭とする労働者は怒りを胸にJRを絶対に許さない闘いに立ち上がった。新たな闘いが始まったのだ。
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4・26集会決議
 私たちは、本日、全国からJR尼崎事故現場に結集し、2度と事故を繰り返させない闘いに全国で立ち上がることを誓い合いました。
 私たちは107名の労働者と家族の命を奪い562名の負傷者を生み出したJR資本を絶対に許しません。尼崎事故は、利潤追求のために安全を切り捨ててきたJR西日本、資本主義の本質そのものが引き起こした、許しがたい人災です。
 また、尼崎事故は、こうした資本の暴虐と闘うべき労働組合が闘わず、資本を支えてしまっている労働運動の現状が引き起こしたのだとはっきりさせようではありませんか。
 「2度と尼崎事故のような悲劇を繰り返さない」とは、闘わない体制内労組執行部を打倒して、労働組合を資本と徹底的に闘う存在として蘇(よみがえ)らせる以外にはありません。
 動労千葉が尼崎事故をうけて安全運行闘争で130㌔におよぶ危険なレールを取り換えさせたような闘いを、全国のすべての職場で闘うことです。
 中曽根政権から小泉「構造改革」・安倍・福田政権にいたる今日、鉄道に限らず、航空・運輸、医療・福祉、教育、保育そして労働職場などあらゆる領域で”規制緩和””構造改革”の名で安全は投げ捨てられてきました。そのもとで労働者が、家族が何人殺されてきたことでしょうか。大阪府の橋下知事は、石原都知事と手を組んで関西で全面的に推進しようとしています。本当に許せません。
 世界でもまったく同じ流れが、「新自由主義」と呼ばれる”規制緩和””構造改革””民営化と戦争”として労働者、農民の生活と生存を根底から脅かしています。
 私たちは、こうした全世界的な状況を、労働者の世界的な団結で打ち返していく行動に立ち上がるよう訴えます。今、日本で、全世界で労働者がストライキにたちあがっています。チベット問題は貧困と圧制に抵抗する労働者・農民の決起です。労働者が国境を越えて階級的に団結すれば、「新自由主義」=戦争と民営化で労働者を殺し続ける資本家たちをぶっ飛ばすことはできます。
 本日の闘いをあらたな出発点として、11月労働者集会1万人決起で、資本家たちとの闘いに決着をつけにいこうではありませんか! これが尼崎事故に対する私たち労働組合の回答です! JR西日本よ、あぐらをかいているのは今のうちだ! 労働者階級の死をも恐れぬ団結に戦慄(せんりつ)せよ! すべての労働者は団結しよう!
 世界金融恐慌にのたうちまわり、新自由主義の凶暴な拡大を決定する7月洞爺湖サミットを労働者の団結で粉砕しよう!
 以上、決議する。
2008年4月26日
4・26尼崎事故3ケ年糾弾! 尼崎労働者集会参加者一同