2008年4月28日

団結ひろば 投稿コーナー

週刊『前進』10頁(2341号6面3)(2008/04/28)

団結ひろば 投稿コーナー

 第1章 派遣なんてない社会に—春闘行動に参加 関東・民間労働者 B

 偽装請負を告発して、正社員としての雇用を求めて闘っている金属労働者の春闘・工場門前行動に参加してきました。
 夕方5時過ぎ、昼勤者が次々と工場から出てくる一方、夜勤の労働者が入っていきます。いくらかこざっぱりした正社員らしい労働者と並んで、ヨレヨレの服で借り上げ寮から自転車で通ってきた労働者。慣れると派遣・請負とひと目で分かるそうです。20〜30代の若い女性も多い。NHK「フリーター漂流」で描かれた製造現場の現実だ、と思いました。
 「偽装請負」が発覚し、労働局の指導で「期間工」に変わったのですが、その契約も4月末までという中で、組合の委員長がマイクで直接雇用の継続、正社員化を訴えます。職制が「近所迷惑だからマイクの音を下げろ」と食ってかかってきましたが、周りは殺風景な工場だけ。労働者を使い捨てにしておいて、何が迷惑か!
 行動後の報告会で、長期夜勤で体を壊し休養中の当該組合員が「派遣なんてない社会にしたい」と述べる笑顔がとても印象的でした。この10年間でつくり出され、今やどこの工場にもいる年収200万円以下の膨大な青年労働者たち。偽装請負を容認してきた体制内労組への幻想を抱くことなく、自ら声を上げはじめた闘いが、金もうけむき出しの社会を変えるのは、きっと遠くない。

 第2章 「労働者に経営権をよこせ」の声あげる時 東京 生田正治

 あなたは自分の手元に届く郵便物がどれだけの人びとの手を経たものか知ってますか?
 「郵政選挙」の結果として民営化が断行され、正職員が急減した郵政現場の大半は、アルバイトの手に負わされている。無理な人減らしで仕事がきつくなる一方、給料は安く、従業員の入れ替わりが激しい。研修制度がなくなり、今日初めて郵便物に触れる学生が郵便物を扱っている始末。不安定な雇用は職場の人材確保も不安定にする。
 従業員が粗末に扱われる場所では商品(郵便物)も粗末に扱われる。仕事中に負傷したアルバイトにはまともな補償すらされていない。
 惨めな待遇では働く者の誇りなど持てず、命じられた作業を機械的に反復する日々では職業人としての責任感など芽生えない。
 勤勉に働くほど仕事を押しつけられ、人手不足のツケを払わされる。生産性向上の名目で行われているコスト削減と、それと矛盾する郵便サービスの維持という建前のために、アルバイトは効率よく使い回されている。この中で、すでに毎月50件もの郵便物の紛失・盗難が起きている。
 信頼性の低下は運送業にとって致命的だが、経営陣のお偉方は郵便局に足を踏み入れたことすらないのだろうし、実はこの業界でメシを食っていくつもりもない。彼らの仕事はこの不採算部門を「片づける」ことなのだろう。
 本当に郵政を「改革」できるのは、現場を知っている郵政労働者だけだ。「労働者に経営権をよこせ」の声を上げる時だ。

 第3章 ロシア革命が分かる「オルフェウスの窓」 東京・三多摩 水川 繭

 法大クラス討論弾圧被告の内田晶理君の獄中通信パンフ「しゃにむにGO!」に「『オルフェウスの窓』というマンガにはまった」という感想があり、読んでみました。
 通勤電車の中で毎日読んで、没頭して乗り過ごしたこともあったくらい、通勤ラッシュが「続きを読める時間」として待ち遠しくなるくらい、おもしろかった。
 同じ作者の「ベルサイユのばら」は有名なので読んだことがあり、フランス革命がよく分かると評判でしたが、こちらはロシア革命ものです。「ベルばら」が好きな方なら絶対おすすめです。最初のうちはそれほど革命は前面に出てきませんが、実に感じの悪い「資本家の息子」などがお金の力で何でも思いどおりにしようとする姿には、主人公に感情移入して憤慨します。内田君が獄中通信に絵を描いているのもそのあたりなので、ああここで内田君もグッときたのかなと思いながら読みました。
 途中からケレンスキーやラスプーチンとかも登場しますが、顔入りなので混乱せず、ロシア革命がすいすい頭に入ってきます。革命にかかわる人びとの内面の葛藤(かっとう)や飛躍、弾圧との闘い、階級移行の話などもリアルで深みがあり、読み応えがあります。
 「冬のソナタ」を華麗にしたような悲恋ものとロシア革命が同居している——こんなマンガがあったのかとびっくりしました。図書館で借りました。皆さんもどうぞ。