2008年4月28日

〈焦点〉食糧暴動・賃上げストが激発 食糧価格の高騰への怒り

週刊『前進』10頁(2341号3面2)(2008/04/28)

〈焦点〉食糧暴動・賃上げストが激発
 食糧価格の高騰への怒り

 全世界で食糧価格が高騰し、労働者人民の生活を直撃している。アフリカを始めとした新植民地主義体制諸国では、食糧暴動や賃上げ要求のストライキが相次いでいる。代表的な国際穀物価格は、小麦が2年前の3・8倍、トウモロコシが2・6倍、大豆が2・6倍、コメもこの1年で2・5倍となっている。かつてない急騰だ。
 この食糧価格高騰の要因としては、中国・インドを始め需要が世界的に増大している中での、地球温暖化による干ばつの頻発、米帝のバイオ・エタノール戦略、サブプライム危機を発端とする投機マネーの穀物市場への大量流入や原油価格の高騰などがある。
 地球温暖化に関連した背景としては、この2年、小麦輸出国のオーストラリアで干ばつが続き、それが小麦価格を押し上げる要因となった。さらには、すでに温暖化の影響で、2000年、01年、02年とオーストラリアやアメリカで干ばつが発生し、穀物生産量が減収に陥り、生産量が消費量を下回り、繰り越し在庫量が過去30年の最低水準まで落ち込んだ。これがそれまで下落傾向にあった食糧価格を上昇傾向に転換させた。
 その上で、直接のより大きな要因は、05年春に米帝ブッシュ政権が地球温暖化対策と称してバイオ・エタノール戦略を打ち出し、補助金をつけてエタノール燃料車の開発を推進したことだ(新エネルギー法)。このエタノール製造のためにトウモロコシが大量に使われて価格が高騰し、同時にトウモロコシへの作付け転換も広がり、他の穀物価格も押し上げる結果となった。このためメキシコなど中米の人びとは主食であるトウモロコシが買えなくなり、飢えるという非常事態が発生している。
 米帝のバイオ・エタノール戦略は製造過程で二酸化炭素を排出し、温暖化対策としては逆効果であると指摘されている。だが、ブッシュ政権は温暖化対策を押し出すことで、バイオ燃料自動車の開発を進めているGMやフォードなどの自動車産業の国際競争での勝利をもくろんでいるのだ。また、イラク戦争の泥沼化の中で世界最大の食糧輸出国としての米帝が、食糧価格をつり上げることにより帝国主義間争闘戦に勝利しようという狙いがある。
 ブッシュは4月16日、「地球温暖化防止に向けた新目標」なるものを発表し、2025年までに温暖化ガス排出量の伸び率をゼロにすると表明した。これは、25年までは温室効果ガスの排出量を増やし続けるという宣言であり、米帝は「温暖化対策」などまったくやる気がないという表明だ。
 さらに重大なことは、米住宅バブル崩壊で危機に陥っている金融資本と投資マネーが、投機の対象として価格上昇が続く穀物市場に狙いを付け、流れ込んでいることである。今日、世界金融大恐慌情勢の中で、巨大金融資本は空前の危機に陥っており、住宅バブル崩壊での巨額損失を穀物市場で穴埋めしようとしているのだ。
 労働者人民が生きるために絶対に必要な食糧の価格をつり上げ、ぼろもうけをたくらむ資本主義・帝国主義。これをプロレタリア世界革命で打倒するために闘おう。