基地撤去へ 3・23沖縄県民大会に参加して 現地インタビュー(上)
基地撤去へ 3・23沖縄県民大会に参加して 現地インタビュー(上)
3・23沖縄県民大会は、スコールのような激しい雨にもかかわらず全体が非常に集中した集会だった。発言者と参加者の怒りが一つになり、沖縄闘争の新たなうねりを肌で感じさせられる取材になった。現地でのインタビューを2回に分けて紹介します。(本紙/内田康)
第1章 沖縄問題の大きなうねり3・23県民大会実行委員長、沖縄県子ども会育成連絡協議会会長・玉寄哲永さん
今日の県民大会の意味は「人権が保障される社会を実現させる」、これです。沖縄は復帰前から「人権の回復」と言ってきましたが、これを質的に転換させていく。県外からも檄文(げきぶん)や激励を、いろいろいただきました。そういう人たちと連動すればALL JAPANでしょ。全国にむけて沖縄から「人権を保障させる社会をつくろう」と発信していく。今日の大会の意義は、人が集まるということだけじゃない。質的な転換なんです。
地位協定は小手先の運用改善じゃ限界、抜本的な改正が必要です。「日米の信頼関係」と言うのならば、まず沖縄県民の声を聞くことが先なんです。それなしには「日米の信頼関係」は動揺しっぱなしですよ。今日の県民大会は少女暴行事件がきっかけですが、沖縄問題の大きなうねりなんです。
にもかかわらず今日の大会には、県知事と県議会最大会派が「少女をそっとしておきたい」という理由で参加しない。これは「自作自演」の言い訳です。県議会では超党派で抗議決議をしたのに矛盾してるじゃないですか。彼らは、最大の理由として「超党派になってないから」と言っているが、超党派にしなかった張本人たちが何を言っているのか。参加しないための自作自演ですよ。
大会では、うんと踏み込んで発言したいと思っています。(県民大会の開会を前にして)
第2章 声を上げれば国を動かせる沖縄県高教組組合員・Uさん
県民大会まで準備期間が少なく、学校の年度末とも重なって9月の県民大会と同じほどの準備はできなくて残念でした。でも、前面に出て頑張っている玉寄さんたちの意気込みは現場の先生たちも十分感じているので、今日も朝から手弁当で来て頑張っています。
事件の後も、米軍がらみの事件・事故があいついでます。県外でも起こってますよね。自分としては、今日の県民大会は全国大会という位置づけをしてもいいと思ってます。どんどん県外の人にも訴えて、問題意識を持ってもらえればと思っています。
9・29県民大会は、生徒から見ても、先生からみても、県民から見ても「これはおかしい」という一致した考えのもとに大きな大会が成功しました。自分たちがうれしかったのは、組合に入ってない先生方も「この問題は組合とかは関係ない」「おかしいものはおかしい。だから自分も参加する」と、たくさん参加してくれたことです。あれがきっかけで、組合に入ってない同僚とも他愛のない話とか、酒を飲み交わしながら互いの権利の問題なども話ができるようになってきた。そこは組合活動という面でも一歩前進なのかな。
僕はいつも、「大人だけが考えるんじゃなくて、あなたたちも社会の構成者、担い手なんだから、一緒に考えないといけないよね」というのを基本にして授業をやってきました。生徒自身も県民大会に参加し、その後の新聞報道を見て、目の前で「政府のコメントがこう変わった」「政府がこう動いた」というのを見たわけです。生徒自身が自信をもった。だから「文科省にも、自分たちの声を直接ぶつけよう」と、秋の上京行動にむけて寄せ書きも作りました。生きた学習ですよね。あれは大きいと思います。
「この国の主人公は、われわれ主権者なんだ」ということを前面に出して、「この問題はおかしい!」と声を上げれば国を動かすことはできる。そうやって自分たちを取り巻く社会の問題を、一緒になって解決していく必要がある。
こういった集会を持つのも、組合の集まりも、みんな悲観的に見てるけど違うんだ、と。しっかり問題意識を持ち、それを行動に結びつければ大きな山を動かすことはできる。そういう意識をもっと持って、運動に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思います。