新銀行東京問題の核心 破綻の責任を居直る石原
新銀行東京問題の核心
破綻の責任を居直る石原 ファシストに引導渡す時
第1章 中小企業救うのデマゴギー
東京都知事・石原慎太郎が都から1千億円を出資させて開業した新銀行東京=「石原銀行」が累積赤字1016億円という経営難に陥り、400億円の追加出資を要求している。新銀行に再び血税を投じて延命・存続させようという石原=都の居直りと無責任に都民、労働者は怒り心頭に発している。
石原は、03年4月の都知事選で新銀行設立を公約に再選を果たし、05年4月に新銀行東京を開業した。その時の言葉が「ほかの銀行が逆立ちしてもできないことをやる」いうファシスト的なデマゴギーだった。大手銀行の貸し渋り、貸しはがしに遭い窮地に陥っていた中小企業を救うというふれこみで、実際には石原親子の選挙の地盤固めのための口利き自動融資装置とされたのだ。
石原は、強引な融資拡大路線で1千億円もの大穴を開けておいて、その責任を回避し、厚かましくも400億円の追加出資を都に要求する。「銀行が死んだら400億円より多くの迷惑をかける。議論の余地はない」と恫喝する。だが400億円の根拠はきわめて薄弱だ。
新銀行は、都から追加出資を受けたうえで、現6店舗を新宿本店1カ所にし、450人の従業員を4分の1の120人に減らし、融資額も4分の1に、預金額も20分の1に減らし、利子負担を減らす。「縮小均衡」だ。「無担保・第三者保証不要」融資は廃止。中小企業融資残高も4年後ゼロを目指す。もう「中小企業向け銀行」ではなくなる。業務利益を倍にして「2011年度の黒字化」を目指す。こんな甘い計算は成り立たない。
都内中小企業の倒産はこの間増加傾向だ。新銀行の不良債権が膨らみ、赤字垂れ流しになることは確実だ。400億円では足りず、追加出資で都民の負担は加重される。
新銀行は、08年1月時点で焦げ付きが累計約285億円となった。さらに昨年末の融資先(約1万3千社)の43%にあたる5635社が赤字・債務超過状態に陥り、焦げ付き予備軍として控えている。融資残高2545億円の半分近い1200億円が大企業分(50社)で、残りの中小企業分の融資の大半、約1千億円が回収不能になると推計される。新銀行は内外11社に買収をもちかけるほど深刻な破綻状態だ。
第2章 637億円の追加支援必要
累積赤字を資本金で相殺する「減資」を実行すれば、さらに637億円の追加支援が必要になる。これは新銀行自身の試算だ。
新銀行は出資金1千億円のうち300億円を都の一般財源で賄い、残り700億円を10年満期の都債で調達した。この700億円は2014年度に一括償還する。これに備えて07、08年度に計63億円を減債基金に積み立てる。減資されると残りの637億円も前倒しして積み立てなければならないルールがあるのだ。
これとは別に都債700億円の2014年度までの利子負担が100億3100万円にのぼる。
都民は総計1100億円超もの負担を押し付けられる。330人の職員労働者が首になる。こんな銀行を再建・存続させる必要など全然ない。
新銀行東京「破綻」の一切の責任は、石原と新銀行の「マスタープラン」を立てた津島隆一代表執行役(元港湾局長)、それを実行した仁司泰正元代表執行役(トヨタ自動車出身)ら経営陣=取締役会にある。
第3章 石原親子らの自動融資装置
石原は卑劣にも、都議会での経営調査報告や記者会見を津島にやらせ、設立時の経営陣の筆頭、仁司に経営破綻の全責任を押し付け、傲然と居直っている。
03年の新銀行設立構想から2年で情勢は変わり、大手銀行は不良債権処理にめどをつけ、中小企業融資に乗り出した。05年4月開業時には新銀行の存在意義は希薄になっていた。しかし石原自身と議員らが政治利用するために必要だった。
新銀行は大手銀行との競争のなかで、より高い利息で預金を集めざるを得なかった。当然、新銀行の返済金利は7~8%と高くなる。返済期間も3年程度と短い。資金の回転をよくするためだ。利益率の低い中小企業の通常の事業には利用しにくい条件だ。新銀行東京は倒産寸前の企業が最後に駆け込む“高利貸し”となっていったのだ。
高い利息で預金を集めた新銀行は、融資を急拡大する必要に迫られ、「原則無担保・第三者保証不要」「3営業日以内で融資」を掲げて過大に貸し付けて回った。
例えば倒産1カ月前の企業にも財務表提出だけで済む審査(スコアリングモデル)で融資した。新銀行の役員や都議の紹介があれば審査なしで融資が決定された。融資担当の職員には最大200万円の報奨金を支払った。返済が6カ月続けば、以降は債務不履行となっても不問だった。
石原慎太郎の三男宏高の選挙区は、中小企業、町工場の多い大田区・品川区を含む東京3区だ。宏高は05年9月、2度目の衆院選立候補で当選した。新銀行の融資対象は大田区・品川区内の中小企業が群を抜いて高い。
新銀行の存続などもはやあり得ない。今こそ、晩節を汚して破産したファシスト石原の責任を徹底追及し、打倒すべきときだ。その最大の力は、都で働く労働者のストライキ決起である。石原を倒すことは「日の丸・君が代」強制と理不尽な処分攻撃を粉砕し、戦争教育を打ち砕くことに直結する。大阪では大阪府庁の中から闘いの火の手が上がっている。東京の石原と大阪の橋下という2人のファシスト知事を自治体労働者の団結の力でたたきのめそう。
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新銀行東京をめぐる動き
03年4月 新銀行設立を公約に石原再選
5月 会見で新銀行構想を発表
11月 都が1千億円を出資の基本案
04年2月 事業計画マスタープラン発表
4月 新銀行東京が発足(準備会社)
8月 設立本部の本部長に津島隆一
05年4月 新銀行東京が営業開始
9月 石原宏高が衆院議員当選
06年6月 当期赤字209億円の初年度決算発表
11月 累積赤字456億円の中間決算
07年4月 石原知事3選
6月 累積赤字849億円の3月期決算発表
11月 累積赤字936億円の中間決算
08年2月 都に400億円の出資を要請