2008年3月31日

後期高齢者医療制度 これでは生きてけない!

週刊『前進』06頁(2337号5面2)(2008/03/31)

後期高齢者医療制度 これでは生きてけない!
 医療給付を8兆円削減年金から天引き
 保険証取り上げも

 4月1日から75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度がスタートする。介護保険制度を突破口とする日帝の社会保障解体攻撃がいよいよ全面化する。
 後期高齢者医療制度は、小泉政権下の06年6月に強行された医療改革法で決められたもので、その目的は「医療改革」で医療給付費を2025年までに8兆円削減することにある。削減の内訳は患者負担の引き上げで1兆円、診療報酬引き下げで1兆円、生活習慣病の予防策で有病者・予備軍の25%減少で2兆円、入院日数の短縮・ベッド数削減で4兆円というものである。政府の財政負担を減らすための医療の大幅な切り捨てである。
 後期高齢者医療制度の問題点は第一に、すべての後期(75歳以上)高齢者が保険料を負担しなければならず、基本的に年金から天引きされ、収入の少ない高齢者は生活できなくなることだ。これまで給与所得者の扶養家族になっていた高齢者も保険料負担が生じる。しかも保険料は月額1万5千円以上の年金受給者は年金から天引きされる。政府が試算した平均的な厚生老齢年金受給者の保険料は月額6200円であり、高齢者にとってきわめて重い負担だ。
 第二の問題点は、保険料を滞納すると保険証が取り上げられ、窓口で一旦全額負担が必要な資格証明書が発行される。さらに「特別の事情」なしに1年6カ月保険料を滞納すれば保険給付が差し止められる。収入の少ない人から医療を奪う攻撃である。
 第三の問題点は、医療機関に支払われる診療報酬が別建ての「包括定額制」になり、患者が受けられる医療が制限されることである。
 包括定額制では、病気の種類によって支払われる診療報酬が決められており、医療機関は定額を超えて赤字になるような医療行為は続けようとせず、患者も全額自己負担となる医療を受けるのは経済負担が大きく、医療が制限される。一定の治療が終われば病院は患者を追い出そうとし、患者も経済負担が重く出て行かざるを得ないということだ。
 しかも厚生労働省は、08年度の診療報酬改定で延命治療の有無などの希望を文書などで示す「リビング・ウイル(生前の意思表示)」を作成すると診療報酬が支払われる制度を導入する方針である。高齢者を病院から追い出し「自宅で死ね」と強制しているのだ。
 後期高齢者医療制度は、社会保障の全面解体ともいうべき重大な攻撃である。帝国主義の危機の中で、資本の救済のために莫大な資金を投入する一方、それによって生じた国家財政の危機を社会保障制度解体による労働者への犠牲転嫁でのりきろうとしているのだ。帝国主義が労働者階級の革命を恐れて実施している社会保障制度を解体するという攻撃に出ている以上、労働者階級の回答はプロレタリア革命以外にない。