労働者のストにより、ホンダの中国全工場が生産ストップ
5月24日から中国・広東省仏山のホンダの部品工場(1700名余が就業している)でストライキがあり、今日もなお続いている。この工場は自動車の変速器(トランスミッション)をつくる工場で、この工場から部品供給を受けているホンダの中国に4つある完成車組み立て工場が全部、操業停止に追い込まれた。
争議は5月17日に、100余人の変速器組み立て職場の労働者が率先して大幅賃上げ要求(2000元から2500元)のストに入ったことから始まった。会社側が回答をすぐ出すと約束し、いったんストは収まったが、21日に「200元しか上げられない」との回答を受け労働者側は再度ストに入る。さらに会社側がストを率先して率いていた労働者を解雇したので怒りが高まり、全面ストに突入して今日に至っている。
労働者が大幅な賃金要求をしているのは、中国の自動車産業がすさまじいばかりの伸びを見せている中で、労働者(ほとんど農民工)の賃金は残業代を入れて月に1000元程度で、わずかな伸びにとどまっていることへの怒りからである。これはどの自動車会社においても充満している怒りと要求だ。ある調査では、去年の自動車生産と販売の伸びは40%を超えているのに、賃金増加幅はたった9・1%でしかない。自動車産業が農民工らを食い物にして、利潤を上げているのはあまりにも明らかだ。労働者が大幅に賃上げ要求するのは当然すぎるほど当然だ。
ストをしている労働者の中では、日本から派遣された労働者と現地採用の労働者の間の賃金格差が数十倍もあることへの怒りもある。さらに、ホンダは各地(甘粛省、黒竜江省、湖南省など)の技術学校の生徒を「実習生」という形で、他の従業員より安い賃金や、労働契約をきちんと結ばない形で使うということをもやっている。労働者が感じている日本資本の侵略的な強搾取への怒りは、これまた当然だ。
その上で、このストライキが重要なのは、沿海部における「民工荒」状態の中で、会社側が全部を首切ることができずに指導者格の2人を解雇するという、闘争破壊の脅しをかけてきていることに対し、強固な団結と激しい闘争意思を固めてストを続けていることだ。
中国の労働者階級(農民工を含む)の状態は、自動車産業や不動産業を軸にした中国経済のバブル的回復の裏で、搾取と労働者支配が強まり、格差拡大の重圧を一身に受けるものとなっている。富士康という台湾資本の大企業(42万人就業の携帯電話の世界的メーカー)では、ここ半年で12人も宿舎のビルから飛び降りて自殺するという事態が起きている。この現実を労働者に強いているのは、資本であり、同時にこれを後支えしている中国スターリン主義だ。日本労働者階級は中国労働者階級の闘いにとことん連帯して闘おう。(TN)