市東さん即時奪還へ、勾留理由開示公判に100人が結集
5月25日、市東孝雄さんの勾留理由開示公判の日を迎えた。三里塚反対同盟の市東さんは、5月17日に天神峰の自宅の真ん前に設置された空港会社(NAA)の看板に対し、心底からの怒りを爆発させて弾劾・追及の闘いに立ち上がったことで、器物損壊の罪名を着せられて逮捕された。これに強く抗議した現闘のAさんも公務執行妨害で逮捕された。即時奪還の決意と不当弾圧への怒りに燃えて、反対同盟を先頭に100人に迫る労働者、農民、学生、市民がこの日午後、千葉地裁に結集した。ところが傍聴席はたったの18席! しかも東京地裁の裁判で駆り出される暴力職員がここ千葉地裁にまで派遣されて、最初から弾圧・排除の態勢が敷かれている。
午後2時に開廷。市東さんとAさんは元気な顔を見せてくれた。全学連副委員長の倉岡雅美さんが、「不当な勾留弾劾! 市東さんを釈放せよ!」と心からの叫びを上げた。これに対し、遠藤圭一郎裁判官は即座に退廷命令を発し、倉岡さんを法廷から暴力的に排除した。
葉山岳夫弁護士を先頭に顧問弁護団が徹底的に追及し釈明を求めた。市東さんに「逃亡のおそれがある」というのが勾留の理由だが、空港に反対し天神峰で農地を守り耕し続けると宣言している市東さんがどうして「逃亡」などするものか。NAAの看板の内容は、団結街道を通行禁止にし迂回を強制して市東さんの営農を著しく妨害する不当なものではないのか。このような看板をNAAが勝手に設置すること自体が道路交通法違反である。だからこそ成田警察署はこの看板を3カ所すべて回収し持ち去ったのではないのか。そもそも裁判官は44年も続いている三里塚闘争を正しく認識しているのか。
核心を鋭く突いた質問に追いつめられながら、遠藤裁判長は一切の応答を拒絶することに終始した。2人の人間の自由を奪っておきながら理由すら明らかにしない、その態度は何だ! 絶対に許すことはできない! やむにやまれず抗議の声を上げた傍聴者に対し、遠藤は次々と退廷命令を乱発。萩原進事務局次長、婦人行動隊の鈴木加代子さん、太郎良陽一さんの3人を含む計6人が退廷させられた。弁護団は暴力的訴訟指揮を徹底的に弾劾しつつ、2時間を超える追及をとことんやりぬいて、遠藤が音を上げる寸前まで追いつめた。
閉廷後、全員が裁判所裏手に移動し、成田警察署に送り返される市東さんの乗った車両を取り囲んで見送り、大きな声援・激励を送った(写真)。
その場で総括集会が持たれ、弁護団が法廷の状況を再現し裁判官を全面的に批判した。北原鉱治事務局長は憤りをあらわにして、「退廷命令を出すだけで、質問には一切答えない。こんな裁判官がいるのかとあきれた! われわれは闘う以外にない」と弾劾した。萩原進事務局次長は、「5・16集会で反対同盟は火の玉となって闘うと宣言し、市東さんはそれを実践している。成田市は焦りに駆られて、異常な早さで団結街道廃道化へ向けてNAAへの売却手続きを進めている。われわれも連日の闘いは厳しいが、もう一段闘いを前に進めて勝利を切り開こう」と訴えた。最後に鈴木謙太郎さんの音頭で団結ガンバローを三唱し、弾圧との白熱した攻防に勝ちぬき、市東さん、Aさん、そして前日逮捕された萩原富夫さんを一刻も早く取り戻すことを誓い合った。(TN)