6割近い候補者が拒否、前橋での第一回裁判員裁判
12月8日、群馬県で初めての裁判員裁判が前橋地裁で強行された。「とめよう戦争への道!百万人署名運動・ぐんま連絡会」、群馬労組交流センター、婦人民主クラブ全国協、反対派の弁護士や議員がともに立ち上がって、朝8時前から裁判が終わる5時までの抗議行動を打ち抜いた。
地裁は、前日まで「80人に呼び出し」と言っていたのに、当日になって「42人の呼び出しに34来たから参加率81%」と発表。おいおい、そういうのを「偽装」って言うんだよ。これは、「罰金10万円でもいやだ!」と言う人が6割近くで、もう裁判員制度は初日から破綻しているってことじゃないか。
しかもこの日、34人からさらに3人が辞退。群馬の最も北にある旅館の労働者は、料理の仕込みをして朝6時に出てきたという。「脳梗塞で倒れた80代の弟に呼び出しが来たので車で連れてきた」という方もいた。まさしく「現代の徴兵制」だ。
民衆も拒否した。地元紙では「報道、司法関係者(警察・検察)を中心に、266人が傍聴希望で並んだ」と報じた。マスコミ各社がバイトと社員の大動員をしていた。警察も数十人が傍聴券取りで並んだ。「大学の授業で課題に指示された」学生も傍聴券取りで多数並んでいた。
だがそんなもくろみを打ち砕いて、「裁判員制度を廃止しよう!」の訴えは裁判員に、傍聴者に、そして周辺の県庁・市役所を始めとした労働者にガンガン入っていった。支配階級の危機により労働者や学生が階級闘争の最前線に動員された時は、逆に獲得の好機になる時代なのだ。手製の3メートルの横断幕と大運動のノボリが地裁前に翻り、アジテーションが制した。用意した3種類1100枚のビラが配られた。翌日の地元新聞に「反対派20名が」と報道されたが、正直もう少し少なかった。地裁前での熱気ある討論や署名の渦が、そういう数に見せたのだろう。
午後4時頃、「悪い、遅れちゃって」と、駆けつけた支援の農民も合流して、「裁判員制度は廃止できるぞ!」と確信させる、この日の闘いをやりきった。(群馬・T)