市東さん耕作権裁判、藤崎メモのデタラメ追及
11月9日、千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判の第13回口頭弁論が開かれ、反対同盟、顧問弁護団、そして傍聴・支援に駆けつけた労働者・学生・市民が一体で闘った。
この裁判は、成田空港会社(NAA)が市東さんの耕作地の一部を「不法耕作」と決めつけ、明け渡しを求めているもの。農民が祖父の代から耕し続け、現に毎年豊かな作物を実らせている土地を強奪しようとするデタラメで恥知らずな提訴だ。だが不正・違法が暴き出されたのは、NAAの側だ。
今回弁護団は、市東家の耕作地を地主から秘密裏に買収した空港公団(後のNAA)が、農地法違反となる不在地主であったこと、さらに青柳鑑定書に基づいてNAAの土地特定がデタラメであることをとことん追及する準備書面を提出した。NAAによる土地の位置特定(契約地がどこからどこまでか)の根拠は、信用性が限りなくゼロに近い旧地主・藤崎のメモ、それだけである。実際には市東家が一度も耕したことのない土地を「賃借していた」などと言い張っている始末だ。その上さらにNAAの代理人弁護士は、「証人尋問も陳述書の提出も考えていない」と言い出した。許しがたい居直りだ。農民を違法呼ばわりして被告席に座らせておいて、その訴えの根拠を審理されることを拒否するとは、盗人猛々しいにもほどがある! 弁護団の追及に呼応して傍聴席からも一斉に弾劾の声が上がった。追いつめられたNAAに助け船を出すために菅原崇裁判長は「今後の進行について別に協議をやろう」と言ってその場を切り抜けようとしたが、弁護団はこの密室協議提案をきっぱりはねつけ、あくまで弁論の中で決めるべきであることを突きつけ、裁判所とNAA代理人を追いつめた。
裁判終了後、弁護士会館で記者会見が開かれた。司会の鈴木謙太郎さんの紹介で、まず市東孝雄さんがあいさつに立った。「裁判が進むにつれてNAA側のひどいやり方が一層明らかになった。今後どんどん追及する。現闘本部裁判も山場だ。皆さんとともに闘います」との闘志あふれる決意に、大きな拍手が送られた。さらに葉山岳夫弁護士を始め弁護団が次々と立って、法廷での応酬の内容をたどりながら、反対同盟とともに全力で裁判に勝利する決意を表明した。
さらに、現闘本部裁判での事態の展開が報告された。NAAは10月29日に突如「訴状訂正」を裁判所に提出し、本部建物に加えてその外にある井戸、便所、洗い場、水道の蛇口などの明け渡しを求めてきたのだ。NAAのもくろみどおり現闘本部建物を破壊・除去する判決が出たとしても、便所や蛇口が残されてしまったらさらに裁判がいつ果てるともなく続いてしまう。このことに気づいて、こっそり「訂正」で乗り切ろうというのだ。早期結審策動との対決情勢が煮詰まっているこの時に、こんなコソ泥的ごまかしは絶対に認められない。弁護団は、反対同盟とともにこの日の開廷前、千葉地裁の民事5部の書記官室を訪れ、抗議と申し入れを行ったことを明らかにした。さらに本部裁判で強権的訴訟指揮を振るい、実地検証をかたくなに拒否してきた仲戸川裁判長に対し、国会の裁判官訴追委員会に罷免の訴追を請求したことが報告された。記者、傍聴者との間での熱心な質疑応答が続いた。
10・11三里塚―11・1労働者集会が労農連帯の力で大爆発した。市東さんの農地と現闘本部が存在している限り、への字に曲がった誘導路の現実はどうにもならない。追いつめられて敵はあせり、次々とほころびを見せている。次回耕作権裁判は、来年の2月1日。法廷で敵の矛盾をとことん引きだし勝利しよう。
現闘本部裁判審理打ち切りを絶対に許さない。11月12日(木)のデモ(午前9時千葉市中央公園)と裁判に全力結集し闘おう。(TN)