裁判員制度は廃止しかない!山口地裁で抗議行動
9月8日(水)、山口地裁で中国地方初の裁判員裁判が行われ、広島と山口の仲間9名で抗議、宣伝活動を行った。「事件」は、結婚2年目で倒れた寝たきりの妻(現在60歳)を13年も一人で介護してきて、疲れ果てた夫(63歳)が、妻の首を包丁で刺し全治10日の傷を負わせ、自らも自殺を図ったとする殺人未遂、とされている。そもそも全治10日が殺人未遂?! しかも自らも死のうとした。こういった事件は一般には「心中未遂」とか言われる類ものもじゃないのか?!それをたった2日間(両日とも午後のみ)で判決を出す(出させる)という。どう考えたって「裁判」と呼べる代物でないことは明らかだ。
山口地裁前は人通りはあまりなくマスコミが大挙して押し寄せ異様な雰囲気だ。午前中に、呼び出しを受けている裁判員候補者がパラパラとやってくる。徒歩で来た人は大勢の記者やカメラに取り囲まれる。皆一様に顔を強張らせ緊張した面持ちだ。おどおどしながら「有給をとって来た」とか「できれば選ばれたくない」「本当は来たくなかった」と不安そうに答えている。
私たちはビラまきや署名とりを行いながら、裁判所に向かって「裁判員に選ばれた皆さん! 今からでも遅くありません。嫌なものは嫌だと席をたって拒否の声をあげましょう!」と訴えた。
昼近くなるとマスコミの傍聴券確保のためにアルバイトで雇われた学生や若者などがだんだんと集まりはじめた(一人3000円という噂だった)。彼らに、さらに言えばマスコミに対しても「樋渡検事総長は『裁判員制度導入の目的は、被害者や被害者遺族のためではないし、被疑者のためでもない。国民の意識を変えるためだ』と言っている。国家の支配機構・統治機構に人民を取り込む制度だ。改憲・戦争へ向かうための国民動員の制度だ。一緒に制度廃止に立ち上がろう!」と訴えた。
今回の裁判員裁判は、2362人を裁判員候補者として名簿に登載し、その中から抽選で90人を選び、辞退(拒否)が認められた人など21人を除き、最終的に69人に呼び出し状が送られた。その中からさらに辞退した人(明確に拒否した人!)などを除く39人が呼び出され、その内35人が裁判所に出向いてきたという。この事実一つとってみても、裁判員制度は予め破産している!
現段階では全国的にみても、とりあえず被告が事実関係を争わない事件だけを選んで裁判員裁判にしている。そして「検察が言っている通り、この被疑者は容疑を認めている犯人だ。何年牢にぶち込むのが相当か」と裁判員に判決を迫るのだ。公判前整理手続きによって全てストーリーが作られ、今回の山口地裁での裁判はなんと審理時間3時間半だ。そして、一般の裁判であればこれほど大げさに取り上げられるはずもない「事件」-今回では夫婦の関係などもつまびらかにされてしまうのだ。疑問の声も次々にあがっている。
また、ブルジョアマスコミの態度も許せない。ひたすら裁判員制度の宣伝役をかって出ているではないか。この日の傍聴券を確保するために集まったのはほとんどがマスコミに雇われたアルバイトだ。結局金のある大手から順にマスコミが傍聴券を手にするというわけだ。「一般市民」など入り込む余地もない。整理券を配布し抽選で選ぶという裁判所も当然そうした「公平さ」などありもしない現実は承知の上だ。いや、裁判所とマスコミが結託して裁判員制度を宣伝しているのだ。
われわれ絶対反対派が登場する時だ! 裁判員制度廃止までたたかおう!(広島 S・K)