さいたま地裁前でも裁判員裁判に抗議の行動
8月10日、さいたま地裁で裁判員裁判の第2号が開かれたことにあわせて、地裁前で抗議行動が闘われた。呼びかけたのは「裁判員制度に反対する埼玉市民の会」の弁護士や市民たち。「裁判員制度はいらない大運動」の事務局から川村理弁護士も参加。茨城、千葉などの近県からも参加して総勢30人がさいたま地裁前でチラシを配り、裁判員制度廃止をマイクで訴えた。
代表の田中重仁弁護士は、「東京で第一回をやってみてますますはっきりしたように、この制度は冤罪を減らすのではなく、増やす。裁判が圧倒的に短時間にされ、簡略化されてしまい、裁判の目的である真実の発見ができない。できるだけ早期に制度の廃止にもちこむ」と訴えた。川村弁護士は、「裁判員となることがあたかも国民の義務のように言われているが、憲法では、勤労・納税・教育を受けさせる義務の3つしかない。裁判員制度は憲法違反だ」と弾劾した。
100人近くの報道陣が地裁前を埋める中、「裁判員制度はいらない・大運動」などの幟旗が林立し、「まっぴらごめん!裁判員」と題された横断幕が広げられた。NHKが「映像に映るから、どいてくれ」と反動的な規制をかけてきたが、マスコミも反対派の動きも無視できず、昼の全国ニュースで放映せざるをえなかった。
裁判員候補にマスコミの取材は殺到。その取材を通しても、候補とされた人々の多くが「やりたくない」と思っていることが一層はっきりした。引っ張り出された市民の一人は、「審理時間が短いことも含めてプレッシャーを感じる。やりたくない」と話したし、選定の場面では、「あー」と深いため息が出たことも伝わってきた。さらに仕事の都合で辞退を申し出て認められた女性は「仕事の都合とは別に、やりたくない思いは大きかった。法律の素人が人を裁いていいのか疑問で、生涯の守秘義務も、負担が大きすぎる」と取材に応じていた。
さいたま地裁は、「出席率93%で、刑事裁判への参加を真摯に受け止めている人が多い」とコメントしたが、90人を抽出しながら、39人が辞退。当日になっても7人が辞退を申し出て全員を認めるというガタガタの状態。裁判員に選ばれた人も、選定されなかった人も含めて「やりたくない」というのが圧倒的多数の声だ。
裁判員制度はすでに破綻している。選定された人の中から「やめさせてくれ」と言う声が続出する事態になれば、もはやこの制度は維持できない。制度廃止にむけて闘いはこれからだ。さらに全国各地で闘って制度廃止に追い込もう!(埼玉・B)