釜山地下鉄スト7日間、現場闘争に転換
6月26日からストを続けてきた韓国・民主労総傘下の釜山(プサン)地下鉄労組(組合員2890人)が、7月2日午後6時を期してスト中止を宣言、現場闘争に転換した。
キムテジン委員長は、業務復帰に先立ち、組合員に対し「釜山交通公社が強制的な主張を繰り返す場合、再びストを宣言する」ことを明らかにした。7月7日に第15回交渉が持たれるが、この交渉が再び決裂した場合、労組は来る16日午後7時30分、組合員の緊急総会を開き、第2次ストに突入する予定だ。
今回のストは、「必須維持業務制度」施行(08年1月1日)以降、初のストとなったが、スト突入から1週間、この悪法=必須維持業務制度がストライキの足かせとなった。
釜山地方労働委員会の決定に基づいて、運転、管制、信号の分野ごとに必須維持業務の比率を保たなければならなかった。釜山地方労働委員会は地下鉄運行の必須維持率を61・4%に決定しており、釜山地下鉄労組の組合員2800人中、858人はスト中も勤務しなければならなかった。これを行わない場合、違法ストに加えて個人も処罰されるのだ。
さらに釜山交通公社は6月29日から時間帯を選んで32本の列車を増便したため運行率は64・7 %に上昇。今回のスト中、公社は釜山市公務員と協力業者359人を駅務と技術分野に投じた。さらに非組合員130人の追加投入も検討、これが実現した場合、運行率は75・5%まで上昇すると言われた。この悪法に乗っかった釜山交通公社は労使交渉に応じようともしなかった。
労働関係調整法を改悪して盛り込んだ「必須維持業務制度」は、それまで悪名をはせたスト禁止制度=「職権仲裁制度」に代わって、鉄道や病院、航空会社、水道、電気など、国民生活と直結する重要な公益事業の場合、ストをしても必須の指定業務の人員を維持するよう規定した。あらかじめストを無力化しようという悪法なのだ。
釜山地下鉄労組の核心要求は、新設される地下鉄パンソン線の無人システム廃止と要員の新規採用だ。公社はパンソン線開通に伴う必要職員255人のうち、既存の路線で135人を削減・再配置し、227人を新規採用すると発表した。労組はパンソン線242人を始め、ヤンサンシ線28人、欠員補充83人の計353人(運転士91人別途)の新規採用を要求し、交渉決裂に至った。
6月25日の労使交渉決裂をもって、釜山地下鉄労組は6月26日午前4時、ストライキに突入し7日間のストライキを闘いぬいた意義は大きい。今、韓国の地下鉄労組は、ソウル地下鉄労組を軸に民主労総から脱退、労使協調に走っている。その流れを押しとどめるべく、原則を貫いてストライキに立ち上がった釜山地下鉄労組の闘いこそ、イミョンバク(李明博)政権の新自由主義攻撃と激突し、これを打ち破る闘いだ。現場から労働者の怒りを組織し、労働悪法を打ち破って、労働者の威力あるストライキを奪い返そう! 合理化・人員削減は、"第2の大邱(テグ)地下鉄惨事""第2の尼崎事故"への道だ。断固拒否して闘う釜山地下鉄労組に連帯し、動労千葉とともに第2次国鉄決戦に立とう。(M・J)