釜山地下鉄労組、6・26からスト続行中!
釜山地下鉄労働組合が釜山交通公社との最終賃上げ交渉で決裂を宣言し、6月26日午前4時をもってストライキに突入した。釜山地下鉄労組は、25日午後3時から会社側と最終賃上げ交渉を開始したが、核心的な争点だった来年開通予定の新路線(パンソン線)の人材配置問題で決裂し、午後11時10分ごろ正式にストを宣言した。(ここをクリックすれば動画がみれます)
労組の核心要求は、パンソン線の無人システム廃止と要員の新規採用だ。労組は「パンソン線無人システムは市民の安全を脅かし、青年失業問題を加速する。労組の要求どおりにパンソン線無人システムを廃止すれば、市民の安全確保と交通弱者の移動権が保障されるだけでなく、新規人材を最大520人まで採用できる」と訴えている。
労組は6月16日から18日の3日間にストに関する組合員の賛否投票を行った結果、79%の賛成率でスト権を可決した。釜山地下鉄労組の組合員2890人中2547人(88%)が投票に参加し、2011人がストライキに賛成したのだ。労組の要求は先の核心要求に加え、△10%人員削減案など無分別な構造調整の中断、△釜山市の公務員派遣(兼任)中断、△釜山地下鉄の社会公共性強化(市民の安全と健康権確保と事業場内非正規職解消)、△解雇者原職復職、△賃金3%引き上げ、△各種労働条件および厚生福祉改善の要求を突きつけている。
釜山地下鉄労組のストは2007年以来、「必須維持業務制」(注)の導入後では初めてだ。組合員らは労組執行部の行動指針に従い、同日午前4時から車両支部を皮切りにストに突入。午前9時からは技術、役務、車両の3支部すべてがストに入った。ただし、必須維持業務事業場適用を受けているため、通勤ラッシュ時の電車は通常通り運行している。
スト3日目の6月28日になっても労使交渉再開のめどが立たず、29日現在、ストライキによって地下鉄運行率は64・7%に落ち込んだ。スト6日目の7月1日、動労千葉に届いたメールには、「必須維持業務という希代の悪法がストを攪乱(かくらん)していますが、これまで組合員全員が揺らぐことなくスト隊列を守り抜いています」と記されていた。
【注】「必須維持業務制度」 鉄道、電気、航空運輸、水道、ガス、石油精製、病院、通信などの「必須公益事業」でストがある時、一定の水準でサービスを維持しなければならないとする制度。08年1月1日施行。
現在、韓国ではソウル地下鉄労組を軸に仁川(インチョン)地下鉄、ソウル都市鉄道公社、大邱(テグ)、大田(テジョン)、光州(クァンジュ)都市鉄道の6地下鉄労組が「全国地下鉄労組協議会」をつくり、民主労総と袂を分かって年内にも第3労総を結成する動きを加速させている。ソウル地下鉄労組は2月9日、ソウル・メトロ、都市鉄道公社など5公企業労使とソウル市長による「経済危機克服のためのソウル市公企業労使政和合・平和および社会公共宣言」を主導し、今回の「第3労総」の動きの軸となっている。仁川地下鉄労組は4月10日、民主労総から脱退している。
この動きに対し、決然と立ち向かっているのが今回ストライキで闘っている民主労総釜山地下鉄労組なのだ。釜山地下鉄労組は3月25日、「釜山地下鉄労働組合は6地下鉄労組の第3労総設立の動きに反対する!」との声明を発した。声明は、「イミョンバク政権は公共機関先進化計画をとおして公企業の構造調整をさらに強化しようとしている。こうした時に『先進化』『和合』を掲げて新たな労働運動組織をつくるのは、反労働者的であり、民主労組運動を分裂させる目的だ」と弾劾し、「正規職労働者だけの既得権を維持し、資本と政権にへつらって少数の利益のための労働運動を分裂させようとする動きにわれわれは反対する。われわれは政権の弾圧と内部の困難さにぶつかっている労働運動の危機を正面から突破し革新するために、進歩勢力の先頭で民主労組運動の歴史を引き継いでゆくことを宣言する」と結ばれている。まさにこの宣言を実践するストライキが闘いぬかれている。(M)