入管法改悪・在留カード導入阻止へ80人が渋谷デモ
6月3日午後、東京・渋谷の宮下公園に「入管法改悪阻止!」「在留カード導入を阻止するぞ!」のシュプレヒコールが響きわたった。
4・19京都大学に続き5・10横浜市教育会館で開かれた「09外登法・入管法と民族差別を撃つ全国研究交流集会」で打ち出されたのが6・3渋谷デモだ。この呼びかけに応えて在日・滞日労働者とともに労働者・学生80人が結集した。
デモに先立って開かれた集会では冒頭、主催者である全国実の代表から「在留カード導入」を柱とする入管法改悪案の国会審議の現状と闘いの方針が明らかにされた。衆院採決が切迫している中、国会前で外国人労働者が改悪阻止の座り込みを闘うなど、超反動法案に怒りが巻き起こっており、2日の衆院法務委員会では採決に踏み切れなかったことを報告し、「そもそも入管法は1969年から72年まで4回にわたって廃案となった。在日朝鮮人・中国人、そして私たちの70年安保・沖縄闘争の爆発が入管法成立を阻止してきた。1982年に難民認定法と抱き合わせてようやく入管法になった。2001年9・11を契機に『テロ対策』を名目にして入管体制が強化され、毎年のように改悪を繰り返して今日に至っているが、入管体制の歴史は在日朝鮮人・中国人と日本の労働者階級が粉砕してきた歴史であり、今日の改悪も闘えば粉砕できる」と断言した。
さらに具体的な改悪案の中身について言及、「ICチップを埋め込んだ『在留カード』を導入し、中長期滞在の外国人は在留カードを首から下げて、警察や入管に求められた時には常に提示できるようにしろということ。しかし、難民申請者や短期滞在者、非正規滞在者には在留カードは出ない。このカードを持っていない外国人は追放するという体制だ。さらに歴史性のある在日朝鮮人・中国人についても、特別永住者のみを対象に住民基本台帳法のもとに外国人住民票を新設し、それ以外は在留カードで管理する。これは外国人にさらなる分断を持ち込む改悪だ。例えば外国人は引っ越したり、職場を変わったりする場合にも2週間以内に入管に届け出なければならない。これに違反した場合には刑事罰となる」と暴露し、「私たちは民族・国籍・国境を越えて分断を打ち破って団結を求めていく本来の入管闘争をまっすぐに打ち抜いていくために本日のデモを闘おう。法大解放闘争を闘う学生に対する暴処法弾圧を粉砕して14日には再び5000人の渋谷デモを闘おう。その力で15日法大前に集まろう」と呼びかけた。
続いて、怒れる外国人労働者、難民申請者とがっちりと結んで闘っている「牛久入管収容所問題を考える会」、暴処法弾圧と闘う全学連、6・14-15闘争を呼びかけている動労千葉、東京西部ユニオン、三浦半島教組から決意が表明された。動労千葉の後藤俊哉さんは「この入管法にしても何にしても、今の日本の資本階級どもは労働者の団結を破壊したいからこういうことをやる。5・27しかり、法大しかり。労働者の団結を一番恐れている。だからわれわれはどんどん団結してストライキで闘おう。労働者の怒りを6・14-15から8・6-8へ、そして11月労働者集会には1万人が集まろう」と熱くアピール。
獄中の法大生から届いた「獄壁を打ち破って移住労働者を始めすべての労働者と団鉄しましょう」とのメッセージに全参加者が奮い立ち、渋谷一周デモに打って出た。
太鼓のリズムで軽やかに元気に進むデモ隊に沿道の青年・学生が大注目。みんなにこにこしながらデモを迎え、デジカメや写メール。仕事中のビルから飛び出して手を振る労働者、2階の喫茶店から窓越しに手を振る人びと......。ビルの屋上から3人の若い女性たちが手を振り続けてくれた。デモ隊のみんなも手を振って応える。「皆さん! 6月14日には一緒に渋谷をデモしましょう!」(東京・KR)
*
この日、デモに参加した在日2世の男性は、「在日朝鮮人を始め在日外国人に対して入管法なるものが幽霊のごとくにいまだ消えずに存在していること自体許せない」「指紋押捺や外国人学校法、入管法が存在してきたことは、日本がいかに執拗に在日の人権をじゅうりんし、敵視政策を取り続けていることか、あらためて認識せざるをえない」「この問題は、日本人の生存権を脅かし、自衛隊を海外に派兵することと密接に関連がある。これらに対する闘いは、日本プロレタリアートの闘いであると同時に、在日の私の闘いでもある」と語ってくれた。