「新型インフルの脅威」煽り戦時動員狙う攻撃許すな
「新型インフルエンザの脅威」が国家権力とマスコミ総がかりで大宣伝されている。総務省は「対応ガイドライン」を発し「国家の危機管理上の重要課題だ」と叫んでいる。新聞には連日「検疫」「厳戒」「脅威」の見出しが躍る。麻生首相は「非常事態」の陣頭指揮を執るポーズで人気回復を狙っている。こんな状況を徹底的に打ち破らなければならない。「北朝鮮ミサイル迎撃」の排外主義と戦争発動体制構築に続く、治安管理と戦争への労働者動員の攻撃として断固対決し、粉砕しよう。
まず「新型インフル感染が手の施しようもなく拡大し猛威を振るっている」かのような意図的な情報操作と危機管理を粉砕しよう。メキシコでの死者の多さが報道されている。だがこれは高い貧困率、極端な格差社会、人口あたりの医師・看護師数の絶対的不足というメキシコの社会的現実をぬきに語ることはできない。病気になっても医者にかかることができない中で、病状が悪化し多くの人が亡くなったのだ。
日本においては、実際には何も起きていない社会の中から感染者を発見=摘発するために、国家、地方自治体、マスコミが「検疫」「予防」に躍起になり、医療、自治体、教育、空港などの労働者が徹底的に動員されている。修学旅行帰りの横浜市の高校生が感染の疑いをかけられ、学校には「生徒の通学路はどこだ」などの電話が相次いだ。高熱で病院を訪れた人が診療を拒否される事態も次々に起こっている。感染の恐怖だけが誇大に宣伝されているが、現実の被害は起きていない。その一方で、労働者への首切り・リストラや生活破壊の攻撃が吹き荒れる中で日本では年間3万人以上が自殺に追い込まれている。これが現実なのだ!
アメリカでは「メキシコからの不法外国人が豚インフルを持ち込んだ。国境を閉鎖し移民を国外追放せよ」という排外主義運動が台頭し始めた。ロサンゼルスのメーデーでは、この排外主義にヒスパニック系労働者を先頭に強い抗議の声が上げられた。闘うアメリカ労働者のこの決起に続き、今こそ労働者階級の国際的団結の旗を掲げて、排外主義を打ち破ろう!
起きている事態の本質は、帝国主義の末期的な腐敗と危機だ。今日の帝国主義的な経済・社会、文明・文化のあり方が、食糧、健康(衛生・疾病)、エネルギー消費など労働者人民の生活そのものに深刻な危機と打撃をもたらしている。「新型インフルエンザ」もその帰結だ。すべての事象には階級性が備わっている。超階級的な「病気」も「自然災害」もそれらへの対処も存在しない。最末期の帝国主義を打倒して労働者が革命に勝利しこの社会を変革する以外に、われわれの未来は存在しないのだ。(TN)