ベルリンのメーデーで体制内労組を圧倒する戦闘的高揚
ドイツではメーデーに全国400か所で集会・デモがおこなわれ、合わせて50万人の労働者が参加した。特徴的だったのは、ドイツ西部・ルール地方の代表的工業都市ドルトムントで行われた中央メーデーのデモ行進(写真)にネオナチ数百人が襲いかかったこと、そして首都ベルリンのデモで戦闘的左翼と警察が激突し数百人の逮捕者が出たことだ。ドルトムントでは、警察がネオナチの動向に事前に気がつきながら、彼らに思いどおりに行動させ、デモへの襲撃に道を開いた。しかし、事態の重大性に即座に気づいた労組員の的確な反撃の闘いでたたき出した。
ベルリンでは、戦闘的左翼が若者を中心に1万5000人の結集をかちとり、体制内労組のナショナルセンター(DGB=ドイツ労働総同盟)のメーデー集会・デモを数において数倍も圧倒するという画期的な事態となった。驚いたのは体制内労組幹部である。そのため彼らは、戦闘的左翼のシュプレヒコールが自分たちの隊列に届かないように「防衛隊」を出して追い出そうとするなど執拗な嫌がらせをおこなった。それと同時に警察に「規制」を要請した。そして、警察はこれに応じる形で左翼のデモに何度も襲いかかったのである。デモ隊もビンや石で激しく応戦した。激突は夜中まで続き、289人が逮捕された。しかも、そのうち4人は「殺人未遂」で起訴されるかもしれないという。
ドイツの帝国主義者が、フランス・イタリア・ギリシャなどヨーロッパをおおうゼネスト情勢に心底恐怖し、身構え、これまでの常識を超えた弾圧の本格的エスカレートをもって闘いを鎮圧しようとしていることは明らかだ。しかもその先頭に、社民党と左翼党(旧東独スターリン主義党の後継政党)が政権を掌握しているベルリン州政府とその警察が立っている!
09年のドイツ・メーデーが50万人というのは、昨年・一昨年の数とくらべて微増にとどまる。それは、大恐慌下にあってドイツの体制内労組とそのナショナルセンターが昨年以上に必死に闘いを抑え込もうとしており、そのため労働者階級の闘う気運に水がさされているからだ。ドイツの戦闘的左翼が、闘う労働組合と真のマルクス主義を取り戻したとき、事態は大きく転換する。09年日韓米国際連帯の闘いの大前進がますます重要になってきた。(ち)
写真下はベルリンのデモ。「資本主義は戦争と恐慌を意味する。社会革命へ!」などのスローガンを掲げている。