ジェコーで期間従業員92名全員解雇攻撃にストで反撃
埼玉県行田市にあるトヨタ系自動車部品メーカー・ジェコーで、3月24日、92名の期間従業員全員雇い止め攻撃に対して白紙撤回を求めるストライキが打ち抜かれた。24日始業時から翌25日未明の夜勤終了時までの18時間、期間従業員と正社員、被解雇者を含めたJAM神奈川ジェコー労働組合に所属する組合員12名がストライキに突入した。
支援者も含めて早朝から工場通用門前でスト突入集会が開かれたが、この日は、ジェコーはそれまでとは一変して、職制をはじめ役職層を多数早朝から動員、警備員も増強して、IDカードを持たない従業員は構内に入れない、ものものしい検問体制をしいた。かって二組との激しい激突があった時以来の厳戒体制だ。スト決行は、会社に完全に打撃を与えたのだ。
2月27日に突然発表された92名の期間従業員雇い止めは、4月25日に50名、その後契約期間満期を迎える順に雇い止めにして、09年9月末には期間従業員92名全員を放り出すという大量解雇だ。すでに150名近くいた派遣契約の労働者は3月末をもってゼロになっており、300名近くいた非正規雇用労働者を全員解雇するというとんでもない攻撃だ。生産現場が回らないことを承知の上で、あえて期間従業員全員を解雇したのは、次に正社員解雇を意図しているからだ。
一年前と比べ入構者の姿が激減した早朝の出勤風景の中、「スト決行中」「一緒にストをやろう」と呼びかけながら、ビラが労働者に渡される。マイクからは「忙しいときは過労死寸前に酷使しておきながら、会社の都合が悪くなればゴミのように放り出す。そんなことが許せるか。経営能力のない役員は土下座しろ! 責任とって辞任しろ!」と、激しい弾劾が浴びせられる。この日生まれて初めてストライキをやった4名の期間従業員も、ビラまきに立つ。その表情は明るい。マスコミの取材に「このストで、少しでも状況が変われば」「ストをやると決めて、すごい勉強になった。すっきりした」「3ヵ月後の自分がどうなっているか想像するだけで気持ちが落ちこむ。ストに入っているほうがいい」と語る。
構内に一列に並んだ職制たちは、アジテーションの前に下を向いている。ベテラン組合員から「出てきていない役付きがいる」と指摘された。労務担当取締役だけが、うろたえながら携帯でどこかに連絡をとっている。他は動かない。職制も含めて誰もが「あと数ヵ月後は自分か」と自覚しているからだ。かつて激しくスト圧殺の先頭に立った二組の姿もまったくない。二組の執行委員の中らも「仲間がクビにされているのに、何もしない今の組合はだめだ」との声が来ているという。体制内労組の協力によって成り立ってきた労働者支配が、「自動車壊滅」情勢の中で崩れ始めた。
スト突入集会を終了した後、今度は正門側に移動して、構内に突入。警備も職制もまったく制止できない。20名近くが本社社屋の2階にある総務の部屋にかけのぼり、「92名もクビにして、それが人間のやることか! 普通に仕事をしているときか! ふざけんな! 労務担当は出て来い!」と激しく弾劾をたたきつけた! びっくりして、あわてて出てきた労務担当が、「要求書は受け取るから、これで終わりにしてくれ」と泣きつく。総務部屋のほかの職員は、じっと見ているだけだ。
再度正門でシュプレヒコールをあげて、午前中の行動は終了し、午後の熊谷市内での動労連帯高崎のスト報告集会にむけて移動。また夕方には、夜勤者のスト突入に合わせた情宣活動を展開した。
大量首切りの連続、休業が増え数万円規模で減収になっているうえに、賃上げゼロ回答の春闘妥結で、もはやジェコーの体制内組合を手先にした労働者支配は急速に瓦解している。「自動車」「電機」と世界金融恐慌情勢に直撃されている製造現場は、闘う労働運動が労働者の多数を獲得する情勢に完全に入った。そのことを実感させたジェコーのストライキ貫徹であった。(投稿・埼玉I)