中国浙江省で出稼ぎ労働者が警官隊と激突
2月14日夜、浙江省桐郷市で5000人の出稼ぎ労働者(民工、農村からの出稼ぎ労働者)が警官隊と激突し、少なくとも出稼ぎ労働者の100人が負傷し、20人以上が逮捕された。きっかけとなったのは、14日の午後5時半ころに起きた交通事故。自転車に乗った河南省の出稼ぎ労働者が車にはねられた。警官が処理に当たったが、はねられ怪我をした出稼ぎ労働者は「はねられたのに、救急車で病院にいって治療を受けることも許されず、地面に寝かされたまま現場で金銭解決を要求されている」と警官に抗議した。これに怒った出稼ぎ労働者が集まり、警官隊と激突した。
当局は100人の警官を増派したが、出稼ぎ労働者も同郷の者たちを増援した。午後8時ころには、出稼ぎ労働者の数5000となった。警官は警棒で襲い掛かるが、出稼ぎ労働者は棍棒や石、その他いろいろなもので対抗し、警察車両6台を破壊した。当局は緊急にさらに1000人の武装警察隊を増派し、ようやく翌日の明け方に事態は沈静化させ、上記の逮捕者が出たと報道されている。
今年の春節(旧正月)が2月9日に終り、帰郷していた2億3000万人の出稼ぎ労働者の帰還が始まった。しかし世界大恐慌への突入と中国でのバブル経済の崩壊という中で、失業問題が本格化している。「改革・開放」経済政策のもとで経済先進地帯とされる広東省では、日本、香港、台湾、韓国などの外資系企業の撤退・「夜逃げ」も激しく、戻ってきた出稼ぎ労働者の5人に一人が失業するとさえ言われている。中国政府自身も、少なくとも2000万人の失業者が出ると見ており、いつどこで、大暴動が起きてもおかしくない事態になっている。これに加えて大学の卒業生710万人(うち100万人は昨年就職できなかった大学生の数)の就職問題も起きている。
今回の事件は、交通事故というそれ自身は「ささいな」事件がきっかけとなっているが、今の中国の労働者の怒りが、まさに爆発寸前にあること、そしてそれが爆発しつつあることをまざまざと示した。このような労働者の闘いが、今後さらに拡大して中国で起きてくることは間違いない。天安門事件から20年の今年、その闘いは不可避的に、中国スターリン主義との新たな対決へと進んでいくだろう。(KI)