フランス全土で500万人がサルコジ政権弾劾のゼネストに決起
1月29日、フランスで、極右サルコジ政権の新自由主義改革への怒りのゼネストが闘われた。鉄道、空港、郵便、医療、教育、電気・ガスから銀行や証券取引所の労働者に至るまで、約500万人がストに決起した。司法機関や警察や刑務所の組合もストに参加した。テレビ、ラジオ、新聞もストに突入し、ルモンド紙は休刊した。さらに、全国で実に250万人(警察発表でも100万人)がデモに立った。首都パリでは6カ所で集会が行われ計30万人。地中海岸のマルセーユでも30万の大デモ。ボルドーやツールーズでは9万人、クレモント6万人、リヨンでも5万人が決起した。これほど大規模な闘いはサルコジ政権発足以来初めてのことだ。(写真はパリのバスチーユ広場での集会)
今回のストは、サルコジ政権に対するフランスの全労働者階級の激しい怒りの総決起として爆発した。サルコジは、世界金融大恐慌の進展下で、金融資本や自動車産業など大資本救済には総額260億ユーロ(約3兆1000億円)の財政資金を投入して必死に動く一方、労働者の大量解雇や賃金低下を伴う新自由主義改革はあくまで推進するという、露骨な大資本優先の政治をやってきた。これへの怒りが抑えようのない勢いで一斉に噴き出したのである。
国鉄では、管理職組合の一労組を除く他の全労組がストを呼びかけ、高速鉄道TGVが運休、他の路線も2割~4割運休した。パリやボルドーなどの都市鉄道も大幅に運休。マルセーユの地下鉄は全面ストップした。一部の鉄道は28日夜からストに入った。空港でも6つの労組が賃上げと雇用保障を求めてストに突入。高速道路、トラック、バスの運転手もストに突入した。
サルコジの教育改革攻撃に反対してきた教育労働者は、初等・中等・高等教育から研究部門までのすべての労働者がストを呼びかけ、大部隊として登場した。これに生徒の保護者(FCPE生徒保護者協議会連合)、高校生、学生が加わった。司法関係の諸労組(とくに判事組合と弁護士組合)も、法務省による司法改革に反対して約4割がストに入った。ストに参加した判事組合は、各地の裁判所内で集会をした。
医療関係の諸労組は、人員不足や劣悪な労働条件への抗議とともに、この2月に議会で審議される政府の医療改革法案に反対している。郵便関係では資本への門戸開放計画に、すべての組合が「公共郵便の民営化と変わらない」として反対。エネルギー関係でも全労組がストを呼びかけた。職安では、昨年末の組織統合により外国人の求職者の情報をオンラインで警察に送ることになったことに、労働組合が「職安を警察の下請けにするな」と弾劾して決起した。フランス銀行の労組は人員削減に反対し、デモに参加するために当日のサービスを最大限休止することを決定。民間銀行や信用金庫などの労組も合流。パリ証券取引所のオペレーターも、100人以上の人員削減に反対してストに突入した。
公共機関で働く労働者と民間労働者が一体となったゼネストの威力は、サルコジ政権をぐらぐらに揺さぶっている。欧州全域がこのストを契機に、一層巨大な革命的激動の渦中に入っていくのは間違いない。(千)
図はデモが行われた主要な都市。フランス全土に広がっている。