中国でタクシー労働者のストライキが続発
11月20日、中国の広東省スワトー市で、タクシー労働者1000人以上が一斉にストライキに立ち上がった。市内の広場に数百台のタクシーが集結してストに突入。警察によって強制排除されたものの、運転手たちは市庁舎前に集まり、弾圧に抗議の声を上げた。中国では11月に入って、11月3日の重慶市でのストを皮切りに、雲南省、海南省、甘粛省、山東省、陝西省など各地でタクシー労働者のストが相次いでいる。
写真は11月3日、重慶市の広場で早朝からストライキに突入したタクシー
ストライキは、タクシー労働者の劣悪な労働条件への怒りの爆発だ。重慶市では、タクシーの初乗り運賃が5元(約70円)なのに、会社がタクシー運転手から「管理費」と称してピンハネする金が月に7000元から8000元にも達する。運転手はこのほかに、月に2000~3000元のガソリン代も自己負担しなければならない。毎日13時間以上休みなしに働いたとしても1ヶ月の売り上げは約1万2000元で、その6分の1、2000元程度しか手元に残らない。警察が交通違反に対して高額の罰金を請求し、その一方で違法経営の白タクには見て見ぬふりをしていることも、労働者の怒りをかきたてている。
重慶市のストでは市内を走るタクシー約1万6000台のほとんどが早朝から一斉にストに入り、市内の交通が一時、完全にストップした。11月10日には海南省三亜市で、市内のタクシー約1200台のうち2百数十台がストに突入。11月23日には広州市で、酒に酔った市の共産党幹部が「運転手を生かすも殺すも自由だ」などという暴言を吐き、タクシー労働者100人以上が謝罪を求めて集結、出動した警官隊と衝突した。
中国政府は労働者のスト権を認めず、ストは「社会の安定を乱す行為」として鎮圧の対象にしてきたが、労働者の怒りの激しさに恐怖し、一定の譲歩を示さざるをえなくなっている。世界大恐慌の進展下、中国においてもいよいよストの波が本格的にわき起ころうとしている。(千)