欧州経済を襲う世界金融大恐慌と労働者階級の怒り
米国発の世界金融大恐慌が今、すさまじい破壊力をもってヨーロッパ経済を襲っている。この中で、金がないとして医療や福祉、教育関連の予算を削り労働者に低賃金を強制してきた政府が、突然巨額の公的資金を金融資本救済につぎ込んでいることにたいして、各国で大衆的な怒りがわき起こっている。ドイツでも、「付加価値税(=日本の消費税)をどんどん引き上げ、多くの労働者に低賃金を押しつけ、高齢者の年金を削り、そして大量の失業者を生みだして貧困にたたき落としてきたのはおまえらじゃないか。反対に大もうけしてきたのは大資本と大銀行だ。その彼らにわれわれから搾り取った血税を投入することなんて絶対認められない」と猛烈な憤激が高まっている。
写真は、世界金融大恐慌の中で「一緒にドイツのために!」と言いながら、労働者階級人民の犠牲の上にあぐらをかく資本家を風刺したポスター
世界金融大恐慌の大波は、アメリカ以上の激しさをもって欧州各国をのみこんだ。9月28日には、イギリスが破産寸前の中堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレーの一時国有化をおこない、さらにベネルクス3国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)が、金融大手フォルティスとデクシアに大規模な公的資金の投入を決めた。さらに同29日、EU最大の経済大国ドイツで、連邦政府が不動産金融大手2位のヒポ・レアル・エステートへの支援を決めた。この支援は、「最悪の場合266億ユーロ〔1ユーロ=約135円〕にもおよぶ」(ドイツ政府)と言われており、それはドイツ国家予算の10%にものぼる。さらに、9月29日から10月9日にかけてアイスランドで同国の3大銀行すべてが次々と政府の管理下に置かれることになった。そこに、10月に入って、株価の大暴落が次々と襲いかかった。各国の最大手金融機関の株が軒並み暴落しただけでなく、産業株も著しい下落に見舞われた。
EUではもはや、各国が自国経済の防衛のためにきゅうきゅうとしており、経済・財政政策で協調できない状況に陥り、通貨ユーロの崩壊・EUの分解さえ話題にのぼるにいたっている。金融・経済が破滅的状況に突入するなか、数週間・数か月のあいだにあらたに数百万人の失業者が生みだされるだろうと推測されている。資本主義は終わりだ。全世界の労働者階級と連帯して世界金融大恐慌を世界革命に転化しよう。(し)