ロンドンからイラク反戦デモの報告
イギリスのロンドンで3月15日に闘われたイラク反戦デモの詳しい報告が届きました。
イラク戦争開戦5周年を前に、イギリス反戦連合、CND(英国核廃絶運動)と英国ムスリム・イニシアチブの呼びかけで、ロンドンのトラファルガー広場に数千人が集まり、イラクとアフガニスタンからの英軍撤退、イランへの武力攻撃阻止などを訴え集会を行ないました。ロンドンには、遠隔地から参加者を運ぶバスが約7000台集結しました。主会場のトラファルガー広場は、プラカードを掲げた参加者で埋まり身動きできない状態でした。(主催者発表では5万人の参加)
ロンドンでは、2003年3月のイラク戦争開戦時に100~200万人が参加する空前の反戦デモがありましたが、今回はそれ以来の大規模な行動として報道されました。
正面に挙げられた横断幕のメイン・スローガンは、こうです。
・軍隊はイラクとアフガニスタンから出て行け
・イランへの攻撃を止めろ ガザの包囲を解け
・パレスチナへ自由を
・兵士を家に戻せ
主催団体であるイギリス反戦連合議長のトニー・ベンが言った言葉が印象的でした。「今、イラクでは二つの大きな炎が燃えています。一つは怒りの炎、不正義に対する大きな怒りに燃える炎で、もう一つは希望の炎、より良い世界を創っていこうとする希望の炎です。この炎は誰にも消すことはできません。私たちはこの戦いを、何度も何度もくり返し立ち上がって戦っていかなければなりません。イラクの子どもたち、私たちの子どもたち、私たちの後に続く世代がこの戦いを引き継ぎ、担っていかなければなりません。・・・ 議会の代表者はもう過去のものとなりました。未来は、街頭が担っています」
フセイン統治時代に父親を暗殺され、イラクから政治的な理由で亡命してきたサミ・ラマダーニが、こう発言していました。「この占領を終わらせるというタスクは、とてつもない大仕事です。それを成し遂げるためには、イラク内の占領に反対する勢力、解放と民主主義、社会の安定に尽力しようとする全ての政治勢力の幅広い連帯が必要です。イラクでの人々の間の団結はアメリカによって妨害されていますが、それを乗り越えて実現していかなければなりません。そしてもう一つ、死活的に重要なものがあります。それは世界中の、とりわけアメリカとイギリス国内での反戦運動です」
集会後、2時からデモが行われ、国会議事堂まで行進してその周りをぐるりと一週しました。シュプレヒコールは、こんな感じです。
・「我々が欲しいものは?」「正義!」「我々が欲しくないものは?」「戦争!」
・「自由を! 自由を!」「パレスチナに!」
・「占領は犯罪だ!」
デモの際、上げられていたプラカードは以下のようでした。
・軍隊はイラクから出て行け → (これが圧倒的に多い)
・イラク攻撃を止めろ
・ガザから出て行け
・石油のための流血はもう止めろ
・パレスチナ連帯
・流血を止めろ
デモ参加者の多くは5年前にも行動に参加したと言っていましたが、それ以降反戦運動に加わるようになった若い人や学生の姿も多く見受けられました。デモ・集会会場で、近くにいた人と少し話をしてみました。
「イギリス人のほとんどは戦争に反対だけれど、最近の大体の人はこういうデモや集会にわざわざ出て来るほどの暇がないか、忙しすぎる」
「この国でデモクラシーというのは単なるジョークだね」
「ものすごくたくさんの人が参加してたからすごくうれしい。とにかくこれを止めさせるために政府に圧力をかけなきゃいけない」
「このデモは、世界に少なくとも自分たちの国の政府の政策に全てのイギリス人が賛成しているのではないということを示すことにはなったと思う。だけどこれだけの人が集まって反対しているのに、政府がいまだに『解放』という名目で占領を続けているのは残念なことだけど」
家に帰ってニュースを見ましたが何の報道もありませんでした。その次の日もありませんでした。集会で、ジョージ・ギャロウェイが「この国のメディアは全て、特にBBCは『戦争を翼賛勢力』と化している」と言っていたのは本当だと思いました。(K・S)